7月21日に投開票を迎える第25回参議院議員選挙は、消費税や年金問題、憲法改正、労働問題などが争点になっている。今年は12年に一度の地方統一選と参院選が重なる選挙イヤー。それだけに与野党両陣営が選挙戦に力を入れるが、国民の間では陣営が思っているほどの盛り上がりはない。そのため、投票率は低調に終わるとの予測が漂っている。
低投票率とされる背景には、自民党の一強ムードに倦怠感を覚えている有権者が少なからずいることが理由だが、かといって立憲民主党や国民民主党といった野党への期待も薄いことから、投票に行く人が少ないとされる。
そうしたムードのなか、街頭演説で既成政党を凌ぐ人を集めているのが、改選を迎える山本太郎議員が率いるれいわ新選組だ。山本氏はこれまで小沢一郎衆院議員とともに自由党代表を務めていた。自由党が国民民主党と合流したことを機に、小沢氏と山本氏は袂を分かつ。そして、山本氏はれいわ新選組を新たに立ち上げた。
山本氏はこれまで、常識を打ち破るような議員活動を続けてきた。
「その政治活動は前代未聞、奇想天外、天衣無縫と形容されがち。そのため、永田町のしきたりから大きく逸脱することもある。それが、山本太郎アレルギーにもつながり、好き嫌いがはっきりと分かれる」(全国紙記者)
山本氏の突拍子もない行動に眉をひそめる有権者も多い一方で、型破りな手法が熱狂的な支持者を生むことにもなった。山本氏の手法は、れいわ新選組の旗揚げにもよく表れている。山本氏は活動資金を一般市民からのカンパで募った。その額は参院選公示日までに2億円を突破する。集まった寄付金をもとに、山本氏は自身とともに立候補する9人を擁立。短期間で新党を立ち上げ、賛同するメンバーや選挙戦を裏で支えるスタッフを集めた手腕には、他党の選挙スタッフも舌を巻く。野党第一党の立憲民主党関係者は、こう評する。
「旗揚げから短期間で9人もの候補者を口説き、実際に擁立するまでに漕ぎつけた山本氏の政治力は、わが党も見習うべきものがあると思います。しかし、擁立した候補者を見ると、エッヂが利いているか、いささか奇抜すぎるように感じます」
れいわ新選組が擁立した主な候補者は、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の元事務局長で元東京電力社員の蓮池透氏や、女性装で知られる東京大学教授の安富歩氏、コンビニ加盟店ユニオン元執行副委員長の三井義文氏など、多士済々なメンバーが揃う。山本氏の支持者には文化人・芸能人も多く、それだけに話題も尽きない。それが、今回の参院選で台風の目とされる理由でもある。