ビジネスジャーナル > ITニュース > スマホ決済サービス普及を阻む障害  > 3ページ目
NEW
高杉康成「コンセプト・シナジーな経営戦略」

PayPayやLINEPayなどスマホ決済サービス普及を阻む“最後の障害”

文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

 そこで期待できそうなのが、PayPayLINE PayなどのスマホとQRコードを使った新しい決済方式です。これは、中国などですでに先行して使われている技術で、アプリをダウンロードすることでスマホを決済端末に変身させることができます。この方式は、QRコードの印刷で済むため、端末の導入コストも安価なものとなります。また、運営事業者がこの先1-2年は手数料を無料としている点なども考えると、小規模事業者の普及拡大につながる可能性を秘めているのです。

消費者が本当に便利だと感じるかどうか

 こうなると、消費者のスイッチングコストとして最後に残るのは決済時の使い勝手です。しかしながら、この点においていくつかの問題が残ります。

 この方式は、店舗側は簡単な作業で済む半面、消費者側がアプリを起動して、QRコードを読み取らなければならないというデメリットがあります。従って、現金でやり取りをする手続きに比べて決定的に便利になるかどうかは、各消費者のスマホに対する習熟度合いに依存することになるからです。

 しかも、おサイフケータイの事例で述べましたセキュリティ・紛失などの安全性に対する不安は、残り続けることになります。また、機器の故障への心配、機種入れ替え時のセッティングなどの手間も発生するため、カード型電子マネーほど簡単で使い勝手がいいとは言い切れません。

 このように、今後のキャッシュレス化の加速は、この新しい方式のほうが現金で決済するよりも便利だと消費者が感じるかどうか(スイッチングコストが下がるかどうか)にかかっているといっても過言ではありません。街の商店街レベルでも使えるような利用店舗数の拡大により利便性が拡大し、かつ、利用者が機器の利用も含めて十分に便利だと思えるかどうか。7pay(セブンペイ)の不正アクセス事件の記憶が消費者に残るなか、新しいスマホ決済の行方はどうなっていくのでしょうか。
(文=高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士)

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

高杉康成/コンセプト・シナジー代表取締役、経営学修士(MBA)、中小企業診断士

経営学修士、中小企業診断士、岡山県立大学地域創造戦略センター客員教授
神戸大学大学院 経営学研究科 博士後期課程中退(経営学修士、MBA)。日本屈指の高収益企業、キーエンスの新商品・新規事業企画担当を歴任。退職後、新規事業や新製品開発、ビジネスの付加価値向上などの分野において、大企業から、中小企業まで幅広い業種・企業の指導に携わる。一般消費者向けの小売店、ネット販売企業などにおいても、ビジネスモデルの転換、収益力向上、新製品開発などで数多くの実績がある。
最近では、次世代自動車(CASE)、次世代通信、ロボット、AI、IoT、VR・AR、農業クラウドサービスなど、さまざまな最先端・成長業界における新規参入の支援を、上場企業をはじめ全国の企業に行っている。こういった企業への指導実績から、テクノロジーについても非常に詳しく、最先端分野の知見を有している。専門分野は、ブルーオーシャン戦略、事業戦略、技術経営(MOT)、Webマーケティング。
コンセプトエナジー株式会社

PayPayやLINEPayなどスマホ決済サービス普及を阻む“最後の障害”のページです。ビジネスジャーナルは、IT、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!