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もっとも、au WALLET Marketが、auの思惑通りに利用が広まるとは限らない。大きな懸念のひとつは、ショップ店員の負担が増えてしまうことだ。キャリアショップではスマートフォンの広まり以降、ショップ店員が覚えることが年々増えており、新しいサービスについて覚える必要があるのは負担増となることが明らかだ。加えてau WALLET Marketは店頭で顧客への説明対応が必要なことから、現場のオペレーションに影響が出てしまい、逆にユーザーの不満を高める可能性も十分考えられる。
そうしたこともあってか、auは最初からauショップ全店でサービスを展開するのではなく、8月25日のサービス開始時点では直営4店舗で実施し、9月1日に108店舗、そして12月に全国で本格展開するなど、ある程度のステップを踏んでいる。段階を踏む間に店員の教育を進めるとともに、実際の運用で出てきた課題を洗い出し、スムーズな運用につなげる狙いがあると見られる。
au WALLET Marketは当初直営店4店舗でサービスを開始。全国での提供は12月となる
また販売する商品に関しても、ECに慣れていない人がタブレットを使い、すぐ欲しい商品を見つけられるかは、疑問が残るところでもある。付加価値の高い商品や、重くてかさばり持ち帰りにくい商品などをラインアップするとしているが、ECに馴染みのない人にとっては、具体的に商品を体験する場がないと購入の動機付けとはなりにくいだろう。auは一部の直営店などで商品を体験するコーナーを用意するとしているが、店頭で商品の魅力を説明する努力が求められるだろう。
サービスが始まったばかりだけに、ユーザーがサービスに関心を示すのか、どのような商品を購入するのか、まだ見えてこない部分も多い。だがこうした施策が成功すれば、キャリアショップのあり方を大きく変え、割引競争によらない収益手段の獲得が見込めるだけに、その成果が注目されるところだ。
(文=佐野正弘/ITライター)
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