帝王Facebookが日本でイマイチなのはmixiが原因
世界と日本で各SNSのシェアが異なるということだが、具体的な数値ではどうなっているのだろう。
「業界1位のFacebookは、世界で23億人以上のユーザーがいます。しかし日本では約2800万人。これは、2000年代の中盤から後半にかけて、日本ではmixiが先行して流行していたことと、そのmixiのクローズドな性質とFacebookのオープンな性質が逆行していたことが、一因だと考えています。
2位のインスタは世界で10億人以上のユーザー数を誇り、日本でも約3300万人いるといわれています。3位以降は世界で約3億3000万人ながら、日本では約4500万人のユーザーがいるTwitterや、画像共有サイトのPinterest(ピンタレスト)、ビジネス特化型のLinkedln(リンクトイン)が並んでいるイメージです」(坂本氏)
招待制と匿名性を併せ持ったクローズドさが日本人には心地良かったことでmixiブームが起こり、結果論的にFacebookの国内浸透の障壁になっていたということか。では、各SNSにはどのようなユーザー層がいるかを探っていこう。
「Facebookは実名登録制で、アカウントは一人一つまでというルールがビジネスシーンでの信用度を高めており、自作でホームページをつくれない人でもFacebookページはホームページ代わりに応用できる点などが人気の理由です。そのため30~40代のビジネスパーソン、特に男性がメインユーザーでしょう。
インスタは画像や映像が中心で、文章は解説程度という特徴で人気を集めています。芸能人などの著名人が多くやっていることや、実益をかねた情報共有、その視覚的な華やかさから、20代女性を中心に爆発的に浸透していきました。Twitterはインドア派でマニアックな思考の人にウケが良い印象で、日本国内ではユーザー比率の男女差は少ないでしょう」(坂本氏)
新興勢力は台頭しない? 新ブームが生まれない理由
こうした勢力図に新風を巻き起こす次世代SNSが気になるところだろう。一昨年頃にブームが到来するといわれていたMastodon(マストドン)は、現在どうなっているのか。
「Mastodonは、いわば自分たちでSNSのサイト自体を好きにつくって楽しもう、という“分散型SNS”として2017年頃に注目を集めていたサービス。ですが、残念ながら現状は当時予想されていたほどの人気はないですね。Mastodonがムーブメントになれなかった理由は、おそらく“始めにくさ”にあったのでしょう。自分でサーバーを立ち上げられるという自由さがウリでしたが、クリエイティブな意識を強く持った人でなければハードルが高く、それゆえにユーザー数も伸びなかったのです」(坂本氏)