だが、中古スマホのSIMロック解除の受付はauショップ店頭のみでの対応。手数料は3000円で、中古スマホのSIMロック解除受け付けは「1日に2台まで」の制限が付いている。また従来通り、ネットワーク利用制限中だったり、分割購入で購入日から100日目以内しか経過していなかったりする場合は受け付けられないなど、そこはかとなくau側の「嫌々」感が漂う。
総務省ガイドラインの背景
そもそも総務省はSIMロック解除を盛り込んだガイドラインをなぜ打ち出したのか。その背景には携帯電話時代の過当競争があったのだという。
スマホ評論家の新田ヒカル氏は次のように説明する。
「携帯電話が全国民に普及していく中で、キャリア各社はまず携帯端末料金を下げていき、月々の利用料で利益を回収していました。ついに1997年ごろには端末代金が0円になりました。ここで問題になったのが、毎年のようにキャリアを乗り換えるユーザーが登場したことです。このままでは各社とも赤字になってしまうのでキャリア乗り換えを制限するようになったのです」
その後、携帯電話からスマホの時代に変わり、キャリア各社は一定期間ユーザーが使用する前提でサービス全体の価格を安定させていった。最近では、契約者ひとり当たり月々1万円程度の利用料金を負担するのが一般的だ。しかし、これを問題視したのが菅義偉官房長官だった。
菅官房長官は昨年8月、「携帯電話料金は4割下げられる余地がある」と発言したのだ。この発言の後、総務省が中心になってSIMロック解除を含めたさまざまな規制を解除する方向で調整をはじめ、ガイドラインが作られることになったのだという。
auは稲盛的経営哲学で抵抗
新田氏は次のように説明する。
「確かに大手キャリア3社が、利用者から毎月それだけの料金を得ているというのは、少しあこぎだったのかもしれません。その分、自動車などほかの消費にお金が回らなくなるのも事実です。それでも、官房長官がわざわざ民間企業の料金設定に口を出すのは極めて異例。キャリア各社と関係の深かった総務省も動かざるをえなくなったのでしょう」