「各業種のトップシェアが集まったMoPAは、いわば強者連合です。それに対抗したのが、“2位連合”ともいうべき楽天とauグループ。ただし、これらをしのぐ加盟店を持つといわれているのがPayPayです。PayPayは圧倒的な営業力で、地方や商店街の小さな店舗でも使用が可能です。クレジットカードが使えなくてもPayPayは使えるお店も増えています。加盟店の多さでは、PayPayは他社よりも頭ひとつ抜きん出ています」(同)
次に消える“消滅可能性ペイ”は?
10月から実施された消費増税において、QR決済はひとつのヤマ場を迎えているという。
「増税に伴い、キャッシュレス決済でポイント還元が受けられます。当然ながらキャッシュレス需要が盛んになり、特に還元率が高い中小企業はキャッシュレス導入を進めるでしょう。この10月からの需要のために、各社は去年から大々的なキャンペーンを展開してきたのです」(同)
キャッシュレス決済を推し進めようと、政府も優遇措置を取っている。事業者がキャッシュレス対応のレジを新たに購入する場合、政府が3分の2を負担し、3分の1はキャッシュレス事業者が負担するというものだ。しかし、申し込みが多いため、政府の対応は滞っているという。
「『○○ペイ』の特徴は従来のレジがいらない点です。これは、特に中小の事業者にとって非常に魅力的でしょう。そこで攻勢をかけているのがPayPayの営業部隊というわけです。こう見てみると、加盟店の掘り起こしができないサービスは廃れていくと予想します」(同)
そうなると、今後の存続が厳しい“消滅可能性ペイ”はどのあたりになるのだろうか。
「以上のことを加味すると、前述した3つのグループに入らないと生き残りは厳しいと思います。普及のために加盟店手数料を取ってないサービスもあるため、現状のQR決済では、各社とも儲けはほぼありません。仮に手数料を取っても利益はわずかですが、大きなシェアを獲得すれば決済システムが続く限り儲かるというビジネスです。スパンの長いギャンブルのようなもので、体力のないサービスは統合や提携でブランドがなくなっていくでしょう」(同)
囲い込み色が強く加盟店も限られるという点で、次に消えるペイサービスはFamiPayなどの1社独自の決済サービスかもしれない。いずれにしろ、今後も「○○ペイ」のシェア争いから目が離せない状況が続きそうだ。
(文=沼澤典史/清談社)