日本人のテレビ視聴時間、実はネットの7倍…8割の人が「テレビつまらない」と感じるワケ
実はパワフルなテレビ
テレビはインターネットの7倍も強い――。
こう聞くと、どう思われるでしょうか。これはテレビとネットの「時間量」(視聴時間、国民全体・平日)で見た比率です。2015年にNHK放送文化研究所が調査を実施した「国民生活時間調査」で示された結果です。この調査は5年おきに定期的に行われて、日本人のメディア接触の変化がよくわかるデータになっています。
まず日本人のテレビ視聴からみていきましょう。今回の調査で特徴的なことは、テレビ視聴行動が減少したことです。テレビの平日の「行為者率」(テレビを視る人の率)は2010年の89%から15年の85%に減少し、ほぼ男女各年代ともに下がっています。特に低くなっているのが20代男性と30代男性で、20代男性で78%から62%(マイナス16%)に、30代男性で80%から69%(マイナス11%)に、この5年間で大きく低下したのが目に付きます。
またテレビ視聴の時間量ではどうでしょうか。平日の国民全体では10年の3時間28分から15年の3時間18分へと減少しているのです。性別と年代別で特に低いのが、10代男性で1時間33分でした。
もっともテレビ視聴は、ずっと下がり続けているわけではなく、1995年から10年までは平日の視聴時間に関してはわずかながら増加(3時間19分から3時間28分へ)していました。ですので、テレビ視聴の減少は10年から15年まで、この5年間のうちに起こっている現象として考えることができます。
なお、テレビ視聴時間の減少は、実は70年代から90年代にかけてもすでに起こっているので、歴史上初めてのことではありません。むしろ10年までテレビ視聴は増加していましたし、あらゆる媒体のなかで、ほぼあらゆる年代にわたって、現在までにもっとも多くの「行為者率」を取り続けているのもテレビなのです。私たちはむしろ、こうしたテレビの相変わらずの人気ぶりに驚くべきかもしれません。
ちなみにビデオ・HD・DVDの行為者率、視聴時間(平日)は10年から15年にかけて増加(11%→15%、13分→17分)しており、この数字にはテレビのコンテンツ録画とネット配信されたテレビコンテンツ視聴が含まれています。ここからも、テレビのコンテンツは引き続きよく見られていると言ってもよいのではないでしょうか。