本名と恥ずかしいDL履歴が一生ネット上に晒される?ファイル共有ソフトの落とし穴
PCデビューは30年前に発売されたシャープのX1という、筋金入りのデジタル中毒であるITライターの柳谷智宣氏。日々、最新デジタルガジェットやウェブサービスを手当たり次第に使い込んでいる。そんな柳谷氏が、気になる今注目のITトレンドの裏側とこれからを解説する。
2月19日から21日までの3日間で、ファイル共有ソフトを利用して、違法なファイルをアップロードしていた27人が逮捕された。一斉取り締まりは、これで4回目となる。
ファイル共有ソフト「Winny」の作者が著作権法違反容疑で逮捕されたのが10年前。その後も、Winny利用者がウィルスに感染する事例が頻発した。個人のメールやデジカメ写真から、警察や自衛隊の内部資料まで漏洩して世間を騒がせたのだ。その後、ニュースに上らないので下火になったと思いきや、今でも多数のユーザーが利用している。
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、2013年1月18日にファイル共有ソフトのネットワーク分析を実施。今でも、10万台以上のPCがWinny、Share、PerfectDarkといったファイル共有ソフトを動作させていることがわかった。
Winnyの開発者が起訴された件は、結局最高裁で無罪が確定している。ソフトそのものは違法でないということだ。しかし、利用者のほとんどは違法ファイルをやりとりしているのが現実。すでにサイバー警察はネットワークの解析をしており、ファイルをアップロードしている人を突き止めることが可能になっている。
●「神」や「職人」は逮捕されて当然だが…
今のところ、逮捕されているのはアップロードしている「神」や「職人」といった人たちだ。彼らは、自らコンテンツを購入し、他人が見やすいようにスキャンしたり変換して、共有ネットワークに流している。対価や賞賛もないが、彼らなりのやりがいがあるようで、多数の神や職人が違法ファイルをアップロードしている。彼らが、著作権を大いに侵害しているのが明確なので、逮捕されるのは当然だろう。
注意したいのは一般ユーザーだ。2012年10月に違法ダウンロード刑罰化が開始された。現在は、違法であると認識しながら、動画や音楽のファイルをダウンロードすると、逮捕される可能性がある。逮捕されると、一部の人はフルネームを公表され、永遠にネットに残ることになる。その際、どの作品の著作権を侵害したかも書かれるが、映画ならともかく、人に知られたくないコンテンツだった場合は、その後の人生に多大な影響を与えることになる。
数百円〜数千円もするコンテンツを大量にダウンロードしていると、何か得をした気分になるのかもしれないが、リスクは大きい。「『BitTorrent』というWinnyタイプとは別の仕組みを利用したファイル共有ソフトを使えば大丈夫」といった都市伝説も信じないように。確かに一斉捜査は難しいものの、狙ったターゲットを摘発することは可能。警察もすでに注目しているので、いつTorrentユーザーが摘発されるかわからない状態なのだ。
「自分だけは大丈夫だろう」とずるずると共有ソフトを利用するのは今すぐやめておくべきだ。
(文=柳谷智宣/ITライター)