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田中洋「マーケティングのキーインサイト」

私達が消費する情報の7割はテレビ…「ネットによる情報バクハツ」という幻想

文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授

 そしてこうした情報爆発の原因は、インターネットのせいだとされます。次の図2-1,2-2もよく引用される図です。

私達が消費する情報の7割はテレビ…「ネットによる情報バクハツ」という幻想の画像3
私達が消費する情報の7割はテレビ…「ネットによる情報バクハツ」という幻想の画像4

 以上より、どのようなことがいえるでしょうか。次のような推測が成り立つかもしれません。

 情報流通は01年から09年の8年間に1.99倍も増加している。一方、同じ期間に消費情報量は1.09倍で、あまり増加していない。そして、爆発的に増加した情報流通量のなかでもインターネットの情報流通量が7163倍と、圧倒的に大きい。人々のインターネットの情報消費量は同じ期間に2.5倍から3倍にしか増加していない。つまり、インターネットのおかげで私たちは情報過多、また情報未消化に終わっている…

 しかしながら、こうした見解は的を射ていません。このことを次の2つの方向から指摘してみたいと思います。

テレビの情報流通量増加

 図1の流通情報量の図につけられている説明を、もう一度よくみてみましょう。次のように書いてあります。

「流通情報量の98.5%、消費情報量の73.3%を放送メディアが占めている」(別表p.2)

 なんと爆発的に情報が増加したそのほとんどを占めているのは、放送=テレビなのです。ここには地上波、BS、CSなど近年増加したテレビからもたらされている情報量の増加が示されています。テレビが多くの情報をもたらし、私たちが消費する情報の7割以上がテレビによるものであることになります。

 ではネットがもたらす情報は、どのくらいの割合なのでしょうか。流通情報量の0.8%、流通消費量の11.8%がネットです。「たったそれだけ?」という声が聞こえてきそうです。

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

京都大学博士(経済学)
日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。
1975~1996 21年間、㈱電通勤務。
1996~1998 城西大学経済学部助教授
1998~2008 法政大学経営学部教授
2003・4年度コロンビア大学ビジネススクール客員研究員
2008~2022 中央大学ビジネススクール教授
2022~ 中央大学名誉教授
元・東証一部上場・ソウルドアウト株式会社社外取締役
関心領域:マーケティング論・ブランド論・広告論
田中洋 中央大学ビジネススクール教授のオフィシャルサイト

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