警察なら武装ドローンを飛ばしてもいい?
とはいえ、アメリカでもFAA(連邦航空局)によってドローンの使用は規制されている。商業目的での使用、空港周辺、政府機関や国立公園の上空での飛行などは現行法でも禁じられている。武装ドローンの飛行など、もってのほかである。
だが、原則禁止でありながらも、警察機関による使用を例外として認めるかどうかがいくつかの州で議論となっているのだ。
たとえば、2015年、ノースダコタ州は武装ドローンの使用を警察機関に許した最初の州となった。ただ、それは催涙ガスや唐辛子スプレーのような非殺傷兵器に限定されている。
そして、今注目されているのはコネチカット州である。3月28日、州議会の司法委員会によって圧倒的多数で賛成された法案は、いわゆる武装ドローン(兵器化ドローン)を禁じたものだったが、警察機関による利用を除外していたのだ。当初、その法案は武装ドローンを完全に禁ずるものとして提出されたが、委員会での採決の直前にその制限から警察を除外するように修正されたのだ。報道官のクリス・コリビー氏によると、コネチカット州知事で民主党のダネル・マロイ氏は前年まで警察機関に例外を設ける考えを支持していなかったという。
この予期せぬ修正に対して、市民的自由の擁護者や人権活動家たちは、例外を設けない当初の法案を回復すべくロビー活動を行っている。コネチカット州のアメリカン・シヴィル・リバディーズ・ユニオンの事務局長デヴィッド・マガイアー氏はこのように語っている。
「過去のデータによれば、警察力はマイノリティー・コミュニティーにおいて偏って使用される。(可決すれば)武装ドローンが都会の中心地やマイノリティー・コミュニティーで使用されうると我々は信じている」
そして、コネチカット州が、殺傷兵器を備えたドローンの使用を警察に許す最初の州となる可能性があることに対して、マガイアー氏は「それは、ここで敷かれるような先例ではない」と答えている。
もし民主党コントロールのコネチカット州議会が法案を可決させれば、それは民主党と共和党でちょうど二分された上院へと移されることになる。今、その行方を見守っているのはコネチカット州民だけではない。
(文=水守啓/サイエンスライター)
【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。著書に『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の秘密/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研プラス)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。
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