京セラが北米向けに販売しているタフネス・スマートフォン(スマホ)「DuraForce PRO(デュラフォースプロ)」が、2016年9月の発売以来25万台を売り上げるヒットを記録し、人気を博していることから世界的に注目されている。
京セラのスマホが、なぜ海を越えたアメリカでヒットしているのだろうか。ITジャーナリストの三上洋氏に話を聞いた。
京セラが北米向けスマホを開発する理由
まず、なぜ京セラが、アメリカ向けにスマホを販売しているのだろうか。
「これには京セラの歴史が少し絡んでいまして、実は京セラにはKDDIの資本が入っているんです。そのため基本的には、京セラの携帯電話は最初auに投入されるんですね。ですがかつてauは、NTTドコモやソフトバンクと電波の形式、CDMA方式が異なっていたので、同じ製品をau以外で売りづらいという状況でした。資本が入っている関係でau寄りになっていた京セラの携帯電話は、ドコモユーザーやソフトバンクユーザーにアピールするのが難しかったため、国内では認知度も低いというわけです。
ただ、京セラも指をくわえて見ていたわけではなく、2000年代の前半、つまり携帯電話がまだガラケーだった時代から、アメリカ市場を意識し、打って出ていたのです。たとえば、携帯ゲーム機のニンテンドーDSのように、広げて2画面になる携帯電話などおもしろい製品を開発し、アメリカでの人気を少しずつ伸ばしていました」(三上氏)
では、アメリカで京セラのタフネススマホが人気になった理由とは?
「京セラはアメリカで13年に防水機能を備えたスマホ『Hydro ELITE(ハイドロエリート)』を発売していまして、当時、アメリカ市場では水に強いスマホというのがあまりなかったため、これが非常に受けたんですね。
『Hydro ELITE』の反響を受けて次に開発したのが、防水機能に加え、防塵で落としても大丈夫な高耐久スマホ『TORQUE(トルク)』。これがきっかけで、京セラのスマホはアメリカの警察署や消防署、麻薬取締局などでも支持されるようになったのです。
そういった経緯で、京セラはアメリカで官公庁や法人向けに強いスマホの開発に力を入れるようになり、着実に力を伸ばした京セラは13年、14年頃からタフネススマホのブランドとして、アメリカで高い支持を得るようになっていったんです」(同)