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ニコ動、1年でプレミアム会員36万人減少の衝撃…なぜユーザーが不満ぶちまけ始めた?

文=A4studio
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 しかし、運営元がさらなるメジャー化を推し進めるようなら、ニコ動はいよいよ危なくなるのではないでしょうか。例えばニコニコ生放送では、配信中に暴力沙汰が発生するなどの非常識な内容であれば途中で止める措置を取らなければいけませんし、所轄に通報がいくような仕組みだって必要。そうなると、これまで以上にスタッフや設備に投資する必要が出てきてしまい、どこで利益を上げればいいのかという話になります。

 何か事件が起こったら、世間からは『年端もいかない連中が好き勝手やっている、わけのわからないメディアだ』という印象を抱かれるでしょうし、仮に運営元が『ニコ動では有権者と政治家が対等に議論できる』みたいなことを主張しても、『果たして本当か』と白けてしまいますよね。メジャーになればなるほど常にリスクはつきまといますので、そこをコントロールするためのバランス調整が求められるということです」(同)

 なお、カドカワ自身は、ニコ動失速の原因に「システムの陳腐化による性能劣後」「会員減少のニュースが解約を助長」「定額制課金サービスの限界」を挙げている。このうち「定額制課金サービスの限界」については、先述したように“投げ銭”制度(都度課金)の導入によって打破を試みるようだが、これを井上氏はどうとらえるのか。

「“投げ銭”自体はよくある手法で、ネットでは多くの人々が試行錯誤してきています。古くは01年に開設された『1ch.tv』という掲示板サイトで、情報コンテンツの提供者に、1アクセス5~10円ほどの報酬を与える構想がありました。ニコ動も、ユーザーにタダで配信させるわけではなく、ちゃんと報酬を支払うのだというエコシステムを、目に見えてわかりやすいかたちでつくり上げたいのでしょう。

 ですが、昨今では『SHOWROOM』のような事例もあるにせよ、“投げ銭”の成功例はそこまで多いわけではなく、1ch.tvでも未遂に終わっています。それだけに、今回ニコ動が軌道に乗せることができれば、一つの武器になるのではないでしょうか。これが業績の立て直しに直結するとは断言できませんが、『やっぱりニコ動は、ネットならではのユニークな取り組みをするんだ』と、ユーザからのイメージ回復にはなりそうです」(同)

 ではニコニコ動画は今後、どのような未来をたどりそうか。

「結局ニコ動にとっては、“共通した趣味や嗜好を持っている人同士が、心ゆくまで楽しむためのメディア”という現在のポジションを保つことが、長く続けるための道なのだと思います。そうすれば運営元もユーザーも、画質などの技術的な部分は、さほど意識しなくて済みそうですからね。

 逆に、企業としての業績や規模の拡大を性急に追求してしまうようだと、数年後にメディアそのものが消滅するとまではいいませんが、少なくとも影響力を失うことになるでしょう。ひとまず落ち着いて深呼吸し、足元を見てみるという時期があってもいいのではないでしょうか」(同)

 ニコ動は今、原点回帰をするべきタイミングに差しかかっており、その判断こそが将来の命運を分けるのかもしれない。
(文=A4studio)

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