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高橋暁子「ITなんかに負けない」

10代、“本音”はLINEステメやインスタ・ストーリーズに移動…録画&晒されるケースも

文=高橋暁子/ITジャーナリスト
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 SNSは誰かに向けて発信することが前提のツールだ。本当に伝えたくないことにはSNSは向いていないように感じるが、それでも彼女たちはSNSにメッセージを投稿する。「本心を見られるのが怖い」という気持ちと同時に、「誰かに聞いてほしい」「わかってほしい」「吐き出したい」という思いがあるためだろう。

 ある女子高生は、「完全な闇垢がひとつあって、それは親友にも教えてない。フォロワーは特にいないけど別にいい」と言っていた。

Instagramは「ストーリーズ」で本音ちら見せ

 インスタ映え写真を投稿する場であるInstagramは、本音を出すのにあまり向いていないように見える。ところが、10代の子どもたちはここでも本音を出している。

「ストーリーズ」は24時間で消える動画投稿機能だ。消えることが前提のため、“映えない”日常もコミュニケーション目的で投稿している。「ストーリーズのほうがよく使っている」という子がいるほどだ。ストーリーズを開いた状態でメッセージを送ると、ストーリーズに紐付いた状態でDMが送ることができる。そこで、会話のきっかけとして送ることも多いという。

 このストーリーズでも、匂わせ投稿はとても多いという。「気があることの匂わせ投稿や、むかついてるという投稿とか見かけたことがあるかな」と別の女子高生は言う。誰に気があるとか誰にむかついているということは名言せず、わかる人にはわかるように投稿するというわけだ。「すごく親しくて前から話を聞いていたりすると大体わかる」。

 ところが実は、ストーリーズはiPhoneの画面収録機能などで録画ができ、録画されるともう消すことができない。「録画されたものがTwitterで出回ったり、LINEに回されたりした子がいる」という。

 2019年2月に、大手チェーン店でアルバイトによって不適切動画が投稿されて炎上する、通称「バイトテロ」事件が多数起きた。13年頃に起きたバイトテロと違う最大の特徴は、それまでのようにTwitterではなく、Instagramの「ストーリーズ」が録画されてTwitterなどに転載されたものが多かった点だ。iPhoneの画面収録機能などを使えば、24時間で消えるはずのストーリーズが録画、転載できると知らずに問題ある動画を投稿してしまったために起きたのだ。

 実は、Twitterの複垢も、友だちに特定された例を多数耳にしている。LINEのステータスメッセージもキャプチャを撮られて回され、問題になった例があるという。本音を誰かに言いたい気持ちはわかるが、SNS上に書いてしまうとこのような問題が起きることは知っておくべきだろう。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

書籍、雑誌、Webメディアなどの記 事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などが専門。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎) など著作多数。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。令和 三年度教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。


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