そこで今度は、直接販売店に説明を求めるメールを送ると、
「じつは、通関文書不全の為に、商品は税関に引っかかりました。税関の方の対応はこちらに任せてください。そちらは何も返事しなくて大丈夫です。(中略)後ほど、クレジットカードで返金させていただきます。今回の注文もキャンセルとさせていただきます」(桜花屋担当者からのメール文)
との回答がきた。しかし、先に述べてきた通り、今回の通知内容は「通関文書不全」ではない。「商標権を侵害する物品」との忠告をはっきり受けているのだ。
これについて再度問いつめたところ、「商品代金・送料は返金し、大阪税関とのやり取りは自分たちが行うから大丈夫だ」との一点張り。DeNAショッピングに二者間協議が難しいと訴えても、
「DeNAショッピングはお取引の場を提供するサービスとなっており、お取引自体には関与いたしかねる立場にございます為、お力添えできる範囲が限られております。(中略)つきましては、引き続きお話し合いにて解決いただきたくお願いする次第ですが、それでも解決されない場合には、しかるべき機関等への相談をご検討くださいますでしょうか」(DeNAショッピングサービスカウンター 担当者からのメール文)
と、こちらも間に入ることを断固拒否されてしまった。
●模倣品輸入をすれば、知的財産権侵害にあたる可能性も…
もちろん、今回の例でいえば、Aさんの元には代金が返金され、それ以上の問題が起きたわけではない。しかしながら、偽ブランド品などを日本国内に持ち込んでしまった際、場合によっては「10年以下の懲役」または「1000万円以下の罰金」、あるいはその両方が科せられる可能性があるのだ。
AさんがDeNAショッピングを介して取引を行った「桜花屋」をインターネットで検索したところ、某大手携帯サイトのショッピングモールにも出店の形跡が見られた(現在は退店済み)。Aさんがやり取りを行った桜花屋のメールアドレスはすでに使用できなくなり、両社が同じ業者であるかの確認はできないが、大手企業が運営するECサイトを介して、“怪しい販売店”による取引が行われていることは確かだ。
年々ECサイトが増え続ける中、7年ほど前から、偽ブランド品やコピー商品、模倣品といった知的財産侵害物品の税関での輸入差止め件数は、毎年2万件以上にも上っている。安心して購入したものが、実は法律違反だった……。そんな危険性が、すぐ身の回りに潜んでいることを忘れないでいただきたい。
(文=千吉良美樹)