そもそも、マイクロソフトはこんなにWindows XPの面倒を見る気はなかったはずだ。しかし、ちょうど中小企業でも1人1台体制でPCを導入する時期にぶつかったことや、家庭へのPC普及期に当たったこともあり、あまりにも膨大な数が市場に広がってしまった。そして、後継となるはずだったWindows Vistaが不人気であったことから乗り換えも進まず、市場の状況に対応するかたちでサポートを延長。ずるずると10年以上も延命させてしまった。
しかし、それもこれで本当に終わりだ。OSのアップデートは提供されなくなり、今後Windows XPを搭載したマシンは危険にさらされることになる。個人利用ならばすべてを承知の上でセキュリティソフトを頼りに使い続けるのは自由だが、ビジネスの場ではWindows XPを使い続けるという判断自体がリスクとなる。
●割安移行サービスを利用する
中堅以上の企業が、今から新しいマシンを購入し、旧マシンの環境をできるだけ生かした状態で徐々にデータの移行をして乗り換える、という作業をするには手遅れの時期になっている。企業内で使われているすべてのマシンの環境を確認し、適切な移行を行うためには準備期間が必要だからだ。
今からできるのは、比較的単純なデータ移行だろう。個人PCならば「お引っ越しソフト」などを利用して移行できるレベルのものだ。個人向けのPCにはこの時期「お引っ越しソフト」を標準添付しているモデルも増えてきているから、個人や小規模事業者で買い替えを考えているのならば、このあたりを利用したい。
では企業はどうかというと、これはもうプロに頼ったほうがよい。「お引っ越しソフト」を使えばできるといえばできるのだが、全員が自分のマシンの乗り換え作業を行うとなると一苦労だ。なんだかんだと1日仕事になり、本業をストップさせてまで取り組むというのでは困るだろう。そもそも引っ越し作業以前に旧マシンを接続したまま新マシンを稼働させるにはコンセントやLANの口が今までの倍必要になるわけで、週末に集まって一斉に作業をするというわけにもいかない。
ある程度のセッティングやデータ移行をしてくれる業者に任せ、休日や夜間作業を行ってもらうか、部署ごとに時間を区切った作業をしてもらうのが得策だろう。この手のサービスも今は特需ということで、普段よりも安価な価格でやってもらえるプランなども登場している。数をこなすから安くできるのであって、これもいつまでも続くわけはない。使うなら今だ。
●クラウドサービスに乗り換える
なぜOSが変化することで大騒ぎになるのかといえば、基本的な使い勝手が変わるからだ。しかしそれ以上に、単純にPCの乗り換えが面倒だということもある。これがWindows 7のマシンからWindows 7のマシンへの乗り換えだとしても、たいていの人はアプリケーションのインストールやアカウントの登録、データ移行に半日かけることになるだろう。
ならば変化の少ない環境をつくってしまえばよいという考え方もある。それをかなえるのが、クラウドサービスの活用だ。例えばメールをGmailにした場合、PCを取り替えてもブラウザを起動してパスワードを入力するだけで、すぐにメール環境が復活する。ビジネスツールとしてGoogle Apps for Businessを利用していれば、同じようにいろいろな機能がブラウザからパスワードを入力するだけで利用可能だ。
オンラインストレージにもビジネス向けのものはある。個人でDropboxを使うのと同じように、ビジネス向けオンラインストレージも活用していれば「ドキュメント」フォルダや「ダウンロード」フォルダの中身を慌ててかき集める必要もなくなる。