●個人間での決済でも使える?
もう1つの利用シーンが、個人間決済だ。通常の加盟店契約と違って法人である必要がないから、設備さえ整えておけば、いつでもカード決済が行える。毎回手数料はかかるわけだが、3000円の決済ならば100円以下で、その程度ならばよいという人には使い道が多そうだ。
例えば、飲み会などの会費徴収に使ってもよい。カードで支払える、となればそちらを使いたい人もいるだろう。
すでに新しい物好きの一部の人が、コミックマーケットなどで使っているという話もある。海外ではフリーマーケット会場で各出店者がカード決済に対応していることなど珍しくもないようだ。
では、個人間カード決済が流行するかというと、少々疑問が残る。日本は諸外国と比較して、まだカード社会と呼べる状態にはなっておらず、店舗でも少額決済でカードを使う人はそれほど多くない。スーパーマーケットやデパートで数千円から、というのが最も身近なカードの使い方だろう。
ネットショップでは、もちろんもっと少額から利用されている。しかし大手企業が運営しているネットショップでの利用にすら不安を感じるという人が少なくないのも日本の特徴だ。そうした不安を感じる人々が、個人のスマホに取り付けられた見慣れぬ機械でカードを読み取ることをやすやすと受け入れるとは考えにくい。
流行するには、何かきっかけが必要だろう。原則としてスマホ画面にサインを要するので、低額の決済だと小銭を出した方がずっと早い。個人間で利用価値がある場所といえば、やはり大規模なフリーマーケットやコミックマーケット、デザインフェスティバルなどだろう。そうした場で多数の利用者が出てくれば、「最近はフリーマーケットでもカードが使える」と、認識されるかもしれない。
なんとなく「普通」になってしまえば、細かいことを気にせず利用する人も出てくるだろう。そうなるまでには多少時間はかかりそうだが、なんといっても無料で環境が整えられるというメリットがある。気になる人は、とりあえず手に入れてみてはどうだろうか。
(文=エースラッシュ)