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また、輸出加工品の原料がすべて輸入農産物であれば、日本の農村所得にはならない点にも注意が必要だ。05年の食品加工原材料調達における国産農水産物の割合は73.4%であり、この数値は00年(77.1%)以降年々下がっている。
ところが政府は、25年の輸出加工品の国産利用割合を80%で計算しているのである。農林水産省は「国産利用割合を実需者のニーズに応じた国産生鮮食料品の供給が進むことを見込み、73%から80%に拡大」したと説明している。TPPや日豪EPAなど農産物の輸入自由化の進展で輸入農産物の拡大は不可避である。その輸入自由化を推進している政府が、25年には国産利用割合が73%から80%に増加することを前提にするのは矛盾している。
農林水産物の輸出額を現在の5500億円から25年に3兆円へ増加させるためには、年率15%以上の極めて高い伸び率が必要となる。農水省は、「最近の好調な伸び率を維持した場合、中間値より15%程度上回ると試算し、3兆4500億円と推計した」と説明しているが、非現実的な数字である。
ちなみに25年の農林水産物輸出額を3兆円にし、そこから水産物輸出額を削除し、かつ加工品の原料費に占める国産農産物の割合を80%ではなく現在の73%にして計算し直すと、輸出による農村所得は1兆2000億円から5600億円に半減以下となり、その水増し額は6400億円にも上るのです。
(文=小倉正行/フリーライター)
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