7月4日に参院選が公示(投開票21日)されるが、埼玉県は少し特殊事情を抱える。
参院選の後に県知事選(8月25日投開票)、そして参院補選(10月27日投開票)という「3連続選挙」となる見通しで、その3つの選挙が複雑に絡み合い、“密約”の影まで見え隠れするのだ。
改選議席4の参院埼玉選挙区には、自民党現職、公明党現職、立憲民主党新人、国民民主党新人、共産党新人、日本維新の会新人などが立候補を予定している。実は、この埼玉選挙区、公選法の規定により改選議席が5に増える可能性があった。6月に国民民主党を離党した大野元裕参院議員(55)が知事選への出馬を表明したため、参院選公示までに辞職すれば参院選と参院補選が同日となり、当選枠が1増えることになるのだ(ただし、5位当選者の任期は大野氏の任期の残存期間である3年)。
現状、大野氏は参院選公示前の辞職ではなく、公示後もしくは知事選への立候補による参院議員の自動失職を考えているようで、参院選で当選枠が増えることはなさそうなのだが、その代わり、大野氏が辞職か失職した時点で今度は10月に参院補欠選挙が行われることが決まる。大野氏の行動に困惑気味なのが国民民主党だ。
「大野さんが早めに辞職し、参院選の当選枠が5に増えていれば、ウチの新人の当選確率が高まったのに……。現状の4枠では当落線上という厳しい情勢です。どうして自分が所属していた政党の事情を考えてくれないんですかねえ」(同党関係者)
大野氏が参院議員の辞職(失職)を遅らせているのは、補選を参院選との同日ではなく、10月にしたいからだとみられているが、その裏にあるのは、6月15日に知事選への不出馬を表明した上田清司埼玉県知事(71)との“バーター密約”だと囁かれている。
「大野さんは上田知事の後継として知事選に出馬するつもりで、不出馬の上田知事との連携プレーができ上がっている。その上田知事の狙いは、10月の参院補選に自ら出馬し、中央政界に復帰すること。知事選への不出馬会見で『政界引退』を否定したのは、そういうことだと見られています」(埼玉県政関係者)