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メディアが情報源である高級官僚と事実上一体化
今年10月、トルコがシリア北部で大規模な軍事演習を行うとの方針を受けて、トランプ大統領がこの地域から米軍の撤退を開始したことに対し、米主流メディアは「無責任」と批判した。英経済紙フィナンシャル・タイムズに至っては10月25日、ディープステートを開き直って擁護する論説を掲載した。
題名は『米国のディープステートを称賛すべき理由』。高級官僚がいなければ米政府は機能しないと述べ、「彼らの仕事は称賛されないけれども、大きな価値を提供している」と官僚が聞いたら大喜びするような言葉を連ねている。日本の主流メディアも、トランプ氏と官僚組織との対立に関する報道姿勢は、米欧メディアと大差ない。トランプ氏を非難さえしておけばよいという論調だ。
もちろん、トランプ氏がいつも正しいわけではない。大統領も誤りを犯したり不正を働いたりすることはある。しかしディープステートとの大きな違いは、責任の問われ方だ。トランプ大統領は現に、ウクライナ疑惑をめぐって弾劾の危機に立ち、世論の非難を浴びている。しかし高級官僚の判断ミスや不正はめったに表沙汰にならず、その責任を問われ公務員の職を追われることもない。国民にとってどちらがより危険な存在かは明らかだろう。
主流メディアは常日頃、民主主義を守れと叫ぶ。ところがトランプ氏とディープステートの対立になると、いつもの主張とは裏腹に、国民から選ばれていないディープステートの側に立ち、選ばれた大統領を攻撃する。これはメディアが情報源である高級官僚と事実上一体化し、既得権益を脅かすアウトサイダーを排除しようとする動きに見える。権力を監視するメディアの役割を放棄し、みずから権力のゲームに加担する姿は堕落としか言いようがない。
(文=経済ジャーナリスト/木村貴)
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