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かつては仲人を業とする人が、いくつもの写真と釣り書(身上書)を持っていて、結婚適齢期の息子や娘のいる家庭を訪問していた。仲人はお茶を飲みながら親と世間話などをすることで、そこの家庭の様子を理解し、本人がどんな趣味を持ち、どんなことに関心があるかなどのほか、親族についての情報も集めていた。そうした人が足を運び、交流することでこまめに集められた情報が、縁談を成立させてきたのである。
ところが“官製婚活”の場合はそういうことはない。男性と女性の「出会い」の場をつくり、ビッグデータを集めることで、どういうタイミングで結婚に結び付くのかを分析するだけだ。確かに「出会いのきっかけ」を求めるだけならよいかもしれない。だが、飲食にも使えない予算では、その効果に限界があるのではないか。
こうしたことを踏まえ、16年度本予算では、「地域少子化対策重点推進交付金」は5億円に減少。補助率も半分に減らされた。しかし、15年度補正予算では、同交付金として25億円が計上され、全額補助とされている。これについて「平成28年度予算への反映等」は、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策の一環として、結婚に関する取組や結婚等の機運醸成の取組に対象分野を集約し、自治体の先駆的な取組であって、緊急的に支援すべき事業を重点化し、その取組を支援する」としているが、これは行政レビューが補正予算での補助率の減額に言及しなかったからではないか。
数字だけで評価されている印象が否めない「地域少子化対策重点推進交付金」制度だが、果たして国民の幸せに結び付くのだろうか。
(文=安積明子/ジャーナリスト)
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