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投信なので価格の変動は当然なのだが、このファンドは3銘柄しか組み入れていないにもかかわらず、購入時に基準価額の1.62%の手数料がかかり、さらには信託報酬として年率0.6912%の負担が求められる。当初100万円分購入した場合、1万6200円が手数料、信託報酬は年6912円が取られる。
信託報酬は毎年徴収される。信託報酬とは投信を運用するのにかかるコストを投資家に求めるものだが、通常の投信は多数の株式や債券を組み合わせて運用するので、ある程度のコストがかかることは理解できる。しかし、このファンドは3銘柄の株式しか組み入れていない。
販売は三井住友信託銀行で、株を扱えない銀行が、資金の取り込みを狙ったものとみられる。直近で純資産総額は約60億円に達している。3社の株式を手数料の低いインターネット証券経由で株式市場から直接買えば、わずかの手数料で済むうえ、もちろん信託報酬は不要だ。
政府や日本郵政にとって、株価の低迷は今後の株式売却計画にも影響する。ゆうちょ銀行とかんぽ生命は日本郵政の子会社で、今後、日本郵政の保有する2社の株式は2次売り出しというかたちで、再度投資家に販売されることが決まっている。
保有比率を順次引き下げ、経営の自由度を高める狙いもある。3社ともに初値を割り込んだ状況では、応募する投資家が激減し、場合によっては売れ残りが出て、売り出しが失敗に終わることも考えられるのだ。
株式市場にとっても、郵政関連株の売り出しでせっかく新規の投資家が入ってきたのに、今では「投資とは危ないもの」という意識を植え付けてしまった格好になっている。前途は多難といわざるを得ない。
(文=編集部)
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