「トンネルは壊れにくいと思っていた」
「維持管理には予算は付きにくく、点検できなかった」
と説明している。
例えば、青森県の七戸町は、完成から40年が経つ「作田隧道」(全長197メートル)についてほとんど点検したことがなく、町の担当者は、
「コンクリートでできているんだから、50年くらいはもつんだろうという意識があった」
と話す。同町は昨年12月の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて、職員が歩いて目視で点検したところ、天井や側壁に亀裂が確認された。しかし、担当課には土木技術者として採用された職員はおらず、
「どうやって点検すればいいかはまだよくわからない。県と打合せをしながら検討したい」
と話す。
ほかにも、大分県日田市の「比佐津トンネル」(全長79メートル)も、笹子トンネルの事故以前は、道路の陥没などを見回る車で、ついでにトンネル内も巡回していた程度。市が管理するトンネルは他に16本あるが、
「そもそも、『トンネルがいつ壊れるかわからない』という考え自体がなかった」
という。笹子トンネル事故後の点検で、安全には問題ない程度のひびを発見。新年度に詳細な点検を行う。
こうした背景には、市町村の技術系職員の不足がある。昨年7月の国交省の調査によると、技術系職員がまったくいないのはすべての町の5割、村の7割に達した。
また、財源不足という要因もあるようだ。「鷲尾トンネル」(全長620メートル)を管理する高知市は、「道路などの維持管理費にはなかなか予算がつきにくかった」と話し、同市も車でのパトロールのみで定期点検は実施していなかったという。
国交省はこうした状況を受け、市町村へ早急に点検するよう求めるとともに、2月中旬を目処に市町村向けのマニュアルを配布する予定だ。
(文=編集部)