菊川元社長ら旧経営陣3人と法人としてのオリンパスが金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われ、3人は執行猶予付の有罪が確定した。オリンパスも7億円の罰金刑を受け入れた。
この事件では、新日本監査法人が組織的な監査を実施していなかったとして業務改善命令を受けた。
オリンパスは11年11月、過去の損失計上を先送りしていた事実を公表したが、半年後から海外の機関投資家や年金基金などによる訴訟が相次いだ。損害賠償請求額は合計690億円を超えた。国内の信託銀行6行は279億円を請求した。
一部和解したため請求額は減ったが、それでもまだ総額411億円の損害賠償訴訟が続いている。15年3月期に110億円計上していた訴訟損失引当金は取り崩したため、4~12月期末には同引当金は23億円にまで目減りした。訴訟の進展に伴い、追加の訴訟損失引当金を積む必要に迫られている。いまだにオリンパスは粉飾決算事件の処理に追われており、これが減益要因となる。
米国で内視鏡感染で複数の死者
粉飾決算の負の遺産を抱えているオリンパスに、新たな問題が起こっている。
米食品医薬品局(FDA)は15年8月、米国の病院で起きた内視鏡による薬剤耐性菌の感染に関して、オリンパスが迅速な報告を怠ったとして警告書を出した。
問題の内視鏡は十二指腸用。構造が複雑で洗浄しにくく、これが耐性菌の感染が広がる原因になったとされる。FDAは15年3月から4月にかけてオリンパスの米国法人や東京都八王子市の拠点、子会社の会津オリンパスの立ち入り調査を実施した。
米国では複数の死者が出た。患者の家族らがオリンパスの米法人を訴えており、下院議員が同法人に質問状を送ったりしていた。
FDAによると、13年1月~14年12月までに135人の感染が報告されている。今後、内視鏡感染は大規模な集団訴訟に発展するものとみられている。
(文=編集部)