「報道者らを規制対象にする」と国は“自白”
この裁判は、原告全員がフリーランス表現者だから、フリーランスの取材、報道、表現の自由は確保されるのか、ということが重大なポイントである。
秘密保護法22条は「国民の知る権利の保障に資する報道又は報道の自由に十分配慮しなければならない」とし、出版又は報道の業務に従事する者の取材行為は正当な業務による行為と認めている。
また秘密保護法制定時の森まさこ担当大臣は、フリーのジャーナリストも報道に従事する者に含まれると言っている。
このことを確認するため「ルポライター、ジャーナリスト、映画監督、編集者、写真家など原告たちは、報道の自由が確保されているフリーのジャーナリストに該当するか否か」を、何度も書面や法廷で国に確認してきた。
しかし、国は回答を拒否し続け、最終的に出した答弁書は「(不特定多数かつ多数の者に対して客観的事実として知らせることや、これに基づいて意見又は見解を述べることを職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う者)に当たるか否かを判断することができない」としている。
事実上、同法22条で保障される報道の自由は、原告には適用されないと言っている。
原告全員は、詳細な陳述書を提出し、仕事歴、具体的な作品名を示しており、全員が報道等の従事者に該当する。それを認めなかった国の答弁書は、「秘密保護法はジャーナリストらフリーランス表現者の取材・報道・表現の自由を奪うことも想定している」“自白調書”ともいえる。
これは、秘密保護法が憲法違反である明らかな証拠となる可能性が高い。それを確認できたことは裁判を起こした大きな意義といえる。
職業として仕事を継続しているフリーランス表現者の自由も認められないのだから、ブロガーや市民活動家らに対しては、最初から情報収集や取材・報道の自由を認めず、秘密保護法22条の保護の対象にしていないのは言うまでもない。
注目の判決が迫っている。
(文=林克明/ジャーナリスト)
秘密保護法違憲「東京」訴訟 第2審判決
4月26日(火)15:00
東京高等裁判所101号法廷
※傍聴券配布(裁判所入り口脇の配布所)
報告会
4月26日(火)15:40頃から
弁護士会館508号会議室
判決等の情報は原告団ブログを参照のこと。