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開幕前、五輪に対するブラジル人の興味はそれほどでもないと伝えられ、治安問題や経済問題、準備の遅れなどもあり国内外の事前の評判も芳しくはなかったが、無関心ではなかったようだ。「お祭りを楽しむことにかけては世界一」とブラジル人の友人が言うように、自分たちが楽しみたいというのもあっただろうが、世界中から来る人々を楽しませたいという気持ちもあったように感じた。どんな競技でも自国ブラジルに関係のない試合は、必ず負けているチームを応援する判官びいきもそのひとつの表れだと思う。
運営から見えた五輪の開催意義
設備的、運営的には近年の五輪のレベルに届いていたとはいえないが、リオ市民をはじめとするブラジル人のもてなしの心でそれをカバーしていた。元来持っている国民性や気質なのかもしれないが、逆にいうとそれがあれば、多少問題があっても五輪を成功させることは可能だということである。
東京五輪でも大会ボランティア約8万人、東京都の都市ボランティアとして1万人以上の募集を行うことをすでに発表している。当然、公式のボランティアも大切だが、東京都民や市民がどのように国外からの観客を迎え入れるのか。リオを見る限りそちらのほうが重要である。リオで出会った人々は、五輪だから、外国人だから親切にしてくれたわけでは決してない。地下鉄に乗るたびに席を譲り合う光景を目にしたし、お年寄りや女性が大きな荷物を持っていると必ず誰かが運んでいた。
4年後の東京で果たしてそれができるのか。いや、4年後の夏の約1カ月半だけできれば良いという話でもない。これを機にそのような文化が根付くことになれば、開催意義を見失いつつある東京五輪にひとつの意味を持たすことができるのではないだろうか。
(文=小崎仁久)
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