安倍首相にも見限られる
ではそんな稲田氏が、なぜ防衛大臣に任命されたのか。
「閣僚人事を決めるとき、まず重要なポストから埋めていきますよね。『財務大臣には麻生太郎さん、官房長官には菅義偉さん』という具合です。防衛大臣も国家の運営からしたら大事なポストですが、永田町の論理では軽くなってしまっている。そこにお気に入りの稲田さんを入れたということでしょう」(同)
安倍首相はこの人事を、悔やんだりはしていないのだろうか。
「彼女は安倍首相の覚えがめでたかったから、昨年までは『私は女性初の総理大臣候補だ』と言ってはばからなかった。だけど彼女は昨年末に靖国参拝をしましたよね。『なんでこのタイミングに行ったんだ』と、安倍首相は烈火のごとく怒って怒鳴りつけたんです。
安倍首相は対米関係で昨年、エラー続きだったんですね。まず、クリントンが当選すると考えて、大統領選のさなかにもかかわらず彼女に会いに行った。ところが当選したのは、トランプ。そこで慌ててトランプに会いに行ったら、『まだ大統領はオバマなのに』ということで、ホワイトハウスの逆鱗に触れたわけです。そこで、『オバマが広島に来てくれたので、今度は私が真珠湾に行きましょう』ということになった。本当は行きたくないんだけど、エラーをカバーするために真珠湾に嫌々行った。
そこから帰ってきたところで、稲田さんの靖国参拝でしょう。アメリカもいい気はしないし、日韓関係だって静まっていたのに火が付いてしまった。安倍首相はそこでもう、彼女のハシゴを外したのです。そこから稲田さんの迷走が始まるわけですよ。南スーダンのPKOの問題でろくな答弁ができなくて、安倍首相や岸田外相が代わって答弁するようなことがあった。それで今度は、森友学園の問題でしょう。辞任させると首相の任命責任が問われちゃうので、本予算が通過したら、病気入院するんじゃないかということが、永田町ではまことしやかに囁かれていますよ」
永田町の“オシャレ番長”と言われているくらいならまだよかったが、“嘘つき大臣”と判明したからには、早々にご退場願いたいものだ。
(文=深笛義也/ライター)