「5027」実行計画がすでに現実化か
韓国KBSテレビは韓国政府関係者の話として、「『5027』は最高機密で、流出が事実なら韓国軍の受けた過去最悪のハッキング被害となり、米韓軍の展開に深刻な影響が及ぶ可能性があるとしている」と報じているが、北朝鮮側もその内容は基本的に知っていることから、それほどの影響はないというのが正直なところではないか。北朝鮮によるハッキングをリークした政府関係者の狙いとしては、「5027」が最高機密であると煽っておいて、韓国内の危機感を高めることに主眼があると考えるほうが納得がいく。
それよりも、このような危機感を煽る情報が伝えられるなかで、米韓両軍が3月27日から4月5日まで、慶尚北道浦項付近で大規模な合同上陸演習を行ってきたが、通常ならばメディアに公開される演習が、今回は非公開で実施されたことがわかっており、いよいよ「5027」が実戦で運用されるのではないかとの観測も高まっている。
特にトランプ米大統領は英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」の単独インタビューで、北朝鮮問題について次のように語っている。
(FT)――中国にどれだけの期待をしていますか。北朝鮮問題を解決し、米軍を朝鮮半島から撤退させるといった大きな取引はあり得ますか。
(トランプ)「もし中国が北朝鮮問題を解決しないなら、我々がする。言えるのはそれだけだ」
――中国の協力なしに北朝鮮問題を解決できますか。
「完全にだ」
――(北朝鮮と)1対1でですか。
「これ以上言う必要はない。完全にだ」
トランプ大統領は米軍による北朝鮮攻撃を強く示唆しているように聞こえる。このような軍事オプション(選択肢)が現実化しているがゆえに、慶尚北道浦項付近で大規模な米韓合同上陸演習がメディアに公開されなかったと考えるのはうがち過ぎだろうか。
実は「5027」の実行計画がすでに現実化していると考えたほうがより合理的であり、今月6~7日の米中首脳会談において、対北問題で合意に至らなければ、米軍による軍事オプションの可能性が高まっていると考えても不思議ではないだろう。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)