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豊田議員の秘書暴行、稲田大臣の失言…自民党、都議選で歴史的大敗&第一党から転落か

文=児玉克哉/一般社団法人社会貢献推進国際機構・理事長
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 ところが、国政のほうで森友学園問題や加計学園問題がメディアを賑わし、安倍政権の支持率も落ちてきた。そこへ、所属議員の不祥事や閣僚の失言が相次いだ。特に都議選の告示直前に浮上した豊田真由子議員による元政策秘書への暴力・暴言事件は、自民党のイメージを大きく傷つけた。

 選挙戦に入ってからも、稲田朋美防衛相が特定候補者の応援演説で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言し、ダメージが広がった。さらに追い打ちをかけるように、下村博文元文科相が加計学園から違法献金を受けていたとの疑惑も浮上してきた。下村氏は自民党都連会長だけに影響はさらに大きいと思われる。

 自民党候補者の多くは、今回の都議選ではボーダーラインで戦っている人が多い。前回選挙では1人区や2人区では圧勝するところもあったが、今回はそうしたところはほとんどない。3人区以上の選挙区でも当落ラインにいる候補者が多く、これらの逆風によって自民候補者が共倒れするリスクもある。自民党は都議会第一党を狙うどころか、大敗した2009年の都議会選挙での獲得議席38を下回る可能性さえ出てきている。

 また、もうひとつ注目すべきは民進党の凋落だ。09年の都議会選挙で前身の民主党は54議席を獲得し、都議会第一党の地位を得た。しかし、13年の都議選では15議席と振るわず、大敗した。今回は「最低でも20議席以上を獲得する」との目標を掲げているが、10議席に届くと予想する声もほとんどない状態だ。なかには、1~2議席しか取れないと厳しい予想をする向きもある。

 民進党は浮動票を得ながら成長してきた政党であるが、民主党政権時代の失敗が今でも尾を引いている。おそらくこの都議選の結果を受けて、抜本的な改革が求められるだろう。「2大政党」を謳った頃の面影はなく、都議選では都民ファーストや自民党、公明党、共産党の後の第5番目の政党になりそうだ。

 この都議選の結果は、今後の国政の展開にも大きな影響を与える可能性がある。“小池新党”と公明党が連携するオプションができた意味は大きい。すぐにそうなるわけでなくても、公明党は自民党に対して新たな道へ進む可能性を突きつけたことになる。

 民進党も、今のままでは埋没してしまうだろう。連合との関係も微妙な状態が続いている。連合が民進党の一部とともに新機軸に加わることも考えられる。小池新党、公明党、連合、民進党分裂の一派による政界再編も、都議選の結果次第では浮上してくる。

 そんな政界再編を引き起こすかもしれない今回の都議選から目が離せない。
(文=児玉克哉/一般社団法人社会貢献推進国際機構・理事長)

●児玉克哉
国際平和研究学会(IPRA)事務局長、トルコ・サカリヤ大学客員教授、パキスタン・マリル科学技術大学特別教授、ネパール・トリブバン大学客員教授、日本大学法律経済研究所研究員、CSRジャーナル編集長。三重大学副学長・教授、国際社会科学評議会(ISSC)副会長を歴任し現職。専門は地域社会学、国際社会論、政治社会学など。公開討論会を勧めるリンカーン・フォーラム理事・事務局長を務めている。「ヒロシマ・ナガサキプロセス」や「志産志消」などを提案し国際活動や地域創生活動を行っている。2012年にインドの非暴力国際平和協会より非暴力国際平和賞を受賞。

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