東京都議選(6月23日告示)は7月2日の投開票まで2カ月を切っているが、ゴールデンウィーク前から立候補予定者はすでに臨戦態勢だ。小池百合子都知事は4日、初の街頭演説に立ち、公明党への支援を訴えた。小池都知事を支持する地域政党「都民ファーストの会」と都議会公明党が最大会派・都議会自民党の牙城を突き崩して、過半数を獲得できるかどうかが焦点だ。報道によれば、8日現在、42選挙区127議席に対して、205人が立候補の準備を進めている。
豊洲市場移転問題などをめぐり、自民党都連は小池都知事に激しく反発しているが、安倍晋三首相は記者との懇談会で「彼女と私は、皆さんが思っているような悪い関係じゃないですよ」「都議選も彼女が圧勝だろうね」と語っているという(「週刊新潮」<新潮社>23月16日号)。
しかし、これは額面どおりには受け取れない。作家の大下英治氏はいう。
「安倍首相は決して小池さんを許すことはないだろう。第1次安倍内閣で小池さんを防衛大臣に抜擢したにもかかわらず、12年の党総裁選で小池さんは石破さんに付いた。安倍首相にすれば、裏切られたとの思いが強い」
07年7月3日、防衛大臣だった久間章生氏の辞任を受けて小池氏は初の女性防衛大臣に起用されたのだが、翌8月下旬の内閣改造では自身の再任を固辞するかたちで大臣職から離れた。このとき、小池氏がカイロ大学に留学していた頃からの知り合いである元拓殖大学教授・佐々木良昭氏は「せっかく大臣になったばかりなのに、なぜ辞めた?」と聞いたそうだが、小池氏は「女の勘よ」と笑っていたという。「小池氏には人間関係をバッサリと切る非情な一面もある」と佐々木氏は語る。
一匹狼だが、機を見るに敏
1970年代前半、リビア大学に留学していた佐々木氏は、休日にはよくエジプトの首都カイロに遊びに行っていたという。カイロは当時から大都会で、リビアの首都トリポリからカイロまでは飛行機で1時間程度と近い。仲の良い日本人留学生5~6人で集まることが多く、カイロ大学の留学生だった小池氏もその輪の中にいた。
小池氏を含め留学生たちは観光ガイドのアルバイトをしていたが、仕事に慣れてきた留学生たちはアルバイト代の値上げ交渉をし始め、ストライキも辞さないという姿勢になったという。しかし、小池氏はそんな団体交渉の輪の中からいち早く抜け出した。
「仕事を依頼してくれていた旅行会社は彼女を優先的に使うようになり、仲間たちから妬まれたことはあったが、彼女は目先のアルバイト代などで争っても仕方ないと思ったのだろう。当時から彼女には先を読む力があった」