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「次々と仲間を切る非情な女」小池百合子、安倍・自民党をぶっ壊し首相就任の可能性

文=横山渉/ジャーナリスト
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 小池氏の政治家デビューは92年7月の参議院選挙で、日本新党からの出馬だったが、大下英治氏は「今に至るまで3人の天才的な政治家から学んできた」と彼女を評する。その3人とは、細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎だ。小池氏は日本新党→新進党→自由党→保守党→自民党と渡り歩き、その時々の権力者に近い立場にいたので、自民党内には批判も多いが、大下氏は彼女に肯定的だ。

「細川は大衆の心をつかんでゼロから新党を立ち上げ、首相にまで上り詰めた。小沢は経世会出身でありながら、壊し屋として仮想敵対勢力を見つけては自己の正当性を訴えて古いものを壊していった。小泉は郵政改革に反対する政治家を抵抗勢力と呼び、小泉劇場の中で国民的人気を維持した」

 小池氏は都知事選に立候補するとき「崖から飛び降りる覚悟で」と言ったが、大下氏によれば、あれは小沢氏の言葉だとか。かつて小沢氏は「風が吹かないんだったら、自ら崖から飛び降りて風を起こせ」と言ったことがあるそうだ。

 小泉氏が首相に上り詰めるにあたり、「清和会」という派閥の後押しがあったものの、小泉氏自身は派閥の領袖ではなく、“子分”と呼べる政治家はいなかった。政権基盤を固めるために、“参議院のドン”と呼ばれた経世会の青木幹雄氏を味方につけた。

 小池氏は今も自民党所属だが、自民党都連と敵対しつつ、公明党とタッグを組み、民進党からの寝返り組とも関係を深め、都民ファーストの会を主導している。政治はひとりでは動かせないことを熟知しているので、“利用できるものは何でも利用する”ということだろう。このあたりの手法も小泉元首相と似ているのではないか。

女の武器と女の限界を知っている

 安倍首相は3日、憲法改正と新憲法の20年施行に意欲を示した。公明党はこれに否定的で、石破茂氏は異論を唱えている。安倍発言が今後政局になる可能性もあるが、国政での安倍一強支配は続いている。森友問題の逆風があっても、内閣支持率は55%もある(5月2日付朝日新聞より)。

 よって、国政の場では、安倍首相に敵なし状態だが、そんな安倍首相にとってもっとも怖いのは、小池氏ではないか。2月5日の千代田区長選では、「小池印」の現職・石川雅己区長が自民党推薦候補にトリプルスコアで圧勝した。今度の都議選で都議会自民党が大敗するのは確定的で、自民にとっては負け幅をどの程度に抑えられるかという選挙になる。都議会議員が減れば、東京選出の衆院議員は、選挙運動で不利になる。国会でも議席減は免れない。

 小池氏は将来的には首相の座を狙っているという見方もあるが、小池氏の国政復帰はあり得るのか。大下氏は否定的だ。

「都知事が政治家として集大成になるのではないか。小池さんは女の武器と女の限界をよく知っている。小泉時代、郵政解散で刺客第1号として名乗りを上げたときは、女性だから大いに注目を浴びた。ただ、永田町では女性で大勢の子分をまとめあげるのは難しい。子分がいないとさすがに首相にはなれない」

 都議選の結果が国政にどのような影響を与えるのか、読みづらくなっている。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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