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もし了承したのなら、「報告は受けなかった」との国会答弁は嘘となる。とはいえ、そもそも国民から見れば、電子データが陸上幕僚監部にあろうが、統合幕僚監部にあろうが、防衛省内にあったことに変わりはない。これを新聞社にたとえれば、元の原稿のコピーが社会部に残っていたか、編集局長室にあったか、という程度の話だ。しかも大臣も出席していた会議が開かれたとされる2月15日頃はすでに情報開示が行われた後であり、国民の「知る権利」がこれにより妨げられたわけでもない。
さらに政府は3月10日にはスーダンのPKO部隊約350人の撤収を発表、4月17日から開始し、5月26日に撤収を完了したから、防衛政策にも影響することはなかった。
ひとつの省庁内での責任のなすり合いのような話が、不釣り合いに感じられるほど大きく報じられたのは、ひとつには稲田氏がこれまで、たとえば現地視察後に「(南スーダン首都の)ジュバは比較的落ち着いている」とか、森友学園の訴訟に出廷しながら「裁判にかかわったことはない」と答弁したり、東京都議選の応援演説で「防衛省自衛隊としてお願いしたい」と自衛隊の政治的中立を侵す発言をするなど、資質を疑われる言動を繰り返してきたため、ニュースバリューが高まっていることにあるだろう。
また、森友学園への国有地売却の経緯について、財務省幹部が「文書は廃棄された」と言い続けるため、国民に政府の官庁の隠蔽に対する不信感が累積していることも理由と考えられる。
今回の「日報問題」の本質も、昨年9月に情報公開請求があった際、防衛省が「日報は廃棄した」との姑息な逃げ口上を使ったことだ。誰がそれを決めたのか、現在進行中の特別監察ではその真相を明らかにし公表することにより、信頼を回復すべきだろう。
(文=田岡俊次/軍事ジャーナリスト)
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