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【伊調パワハラ告発】栄氏が釈明「(田南部コーチは)男子の練習終えずに伊調を指導」

文=粟野仁雄/ジャーナリスト
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【伊調パワハラ告発】栄氏が釈明「(田南部コーチは)男子の練習終えずに伊調を指導」の画像1写真:AFP/アフロ

 女子レスリングで五輪4連覇を果たした伊調馨選手(33)が、日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けていたとする告発状が、レスリング関係者から代理人弁護士の貞友義典氏を通じて内閣府の公益認定等委員会に出されていた。告発状と一連の報道によれば、栄氏は田南部力コーチに伊調選手への指導をしないよう圧力をかけたほか、男子合宿練習への参加を禁止し、警視庁レスリングクラブへの出入りも禁止したとされる。

 栄氏と協会はパワハラを否定したが、協会は3月6日に倫理委員会を開き、弁護士らで構成する第三者機関で調査することを決めた。しかし、調査結果は協会関係者が大半を占める倫理委員会がまとめて、協会に報告されることになっており、そのプロセスで公平さが保たれるのか、疑問の声が上がっている。

 告発状は窮地の伊調選手を救う目的というが、当の伊調選手は「告発状にはかかわっていない」とコメントしている。告発者名は貞友弁護士で、告発に関与し告発状では「B氏」として登場する人物は、テレビ番組に覆面姿で出演しているが、レスリング関係者ならすぐに誰かを特定できる。

 高校時代から栄氏に育てられた伊調選手は、北京五輪(2008年)後は栄氏と袂を分かち上京。田南部氏が所属する警視庁のレスリング道場で男子に交じって猛練習し、リオ五輪(16年)での4連覇につなげた。

女子に水をあけられた男子

「日本のお家芸」とされたレスリングはかつて男子が中心で、女子は五輪種目ではなかった。栄氏は現役引退後、福田富昭氏(現レスリング協会会長)から女子の指導を命じられて落ち込んだが、アテネから五輪種目となって以降、栄氏が至学館大学(旧中京女子大学)で指導してきた吉田沙保里、伊調、小原日登美、登坂絵莉、土性沙羅らが大活躍し、金メダルを量産した。

 一方、男子は五輪で女子の活躍と大きく水をあけられた。とはいえ男子のコーチ陣の多くは五輪のメダリストなど、現役時代の実績では栄氏を上回る。栄氏は全日本選手権6連覇、世界選手権3位の実績はあるが、出場したソウル五輪ではメダルに届かなかった。

 そして2013年、女子の指導者だった栄氏が、男女合わせた強化本部長に就任した。男子のコーチ陣には、現役の実績が自分たちを下回る栄氏が上位に来ることが、おもしろくなかったのではないか、という声も聞こえてくる。ある協会関係者は、こう語る。

「告発に関与したB氏は、現役時代に1992年のバルセロナ五輪出場をかけて栄氏とも戦ったこともある、元大学レスリング部監督です。B氏が田南部コーチと一緒に動いたようです。それにしても、なぜいきなり内閣府に告発状を送るという手段に訴えたのでしょうか……」

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