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孫崎享「世界と日本の正体」

米朝首脳会談、北朝鮮の核兵器完全廃絶は遠のく…米国、韓国での軍事的優位性を維持

文=孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

「トランプは世論動向を見て行動する」という物差しで見れば、当然の行動だ。チャールズ・コッホ研究所が6月4~6日実施した世論調査は次の通りだ。

【問】トランプは金正恩と会うべきか否か

【調査結果】70%:会うべき、18%:会うべきでない、12%:不明

3.米朝首脳会談の成果

 トランプと金正恩が12日にシンガポールで署名した共同声明の全文は、次の通りである。

<ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長は2018年6月12日、初めての歴史的な首脳会談をシンガポールで行った。トランプ大統領と金委員長は、新たな米朝関係の確立と、朝鮮半島における持続的で強固な平和体制の構築に関連する諸問題について、包括的で詳細、かつ誠実な意見交換をした。トランプ大統領は北朝鮮に安全の保証を与えることを約束し、金委員長は朝鮮半島の完全非核化への確固で揺るぎのない約束を再確認した。

 新たな米朝関係の確立が、朝鮮半島と世界の平和と繁栄に寄与すると確信し、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進できることを認識し、トランプと金正恩は次のことを言明する。

(1)米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する
(2)米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する
(3)2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する
(4)米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺体の収容を約束する。これは身元特定済みの遺体の即時帰国も含まれる
 
 史上初の米朝首脳会談が両国間の何十年にもわたる緊張状態や敵対関係を克服し、新たな未来を切り開く上で大きな意義を持つ画期的な出来事だったと認識し、トランプ大統領と金委員長は共同声明の規定を全面的かつ迅速に実行に移すと約束する。米朝首脳会談の成果を履行するため、米国と北朝鮮はマイク・ポンペオ米国務長官と北朝鮮の担当高官が主導して、できるだけ早い日程でさらなる交渉を行うと約束する。トランプ大統領と金委員長は新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和と繁栄、安全のために協力すると約束する>(共同通信報道より)

孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長

東京大学法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。1966年外務省入省。イギリス陸軍語学学校、ロンドン大学、モスクワ大学にてロシア語を習得し、在ソビエト連邦大使館を経て、1985年在アメリカ大使館参事官(ハーバード大学国際問題研究所研究員)、1986年在イラク大使館公使、1989年在カナダ大使館公使を歴任。1991年から1993年まで総合研究開発機構へ出向。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を歴任。国際情報局長時代は各国情報機関と積極的に交流。2002年より防衛大学校教授。この間公共政策学科長、人文社会学群長を歴任。2009年3月退官。

Twitter:@magosaki_ukeru

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