――重要ポストは決まっているでしょうか。
朝霞 菅義偉官房長官と麻生太郎財務相は不動でしょうから、ほかをどうするかということです。
――大臣待機組はたくさんいますね。逢沢一郎氏や平沢勝栄氏などもいます。
朝霞 逢沢氏はもう11期ですからね。昔は5期重ねると大臣ポストが自然と回ってきましたが、稲田朋美氏が防衛相を務めたことで、その不文律が崩れました。逢沢氏は重要閣僚でないと受けないでしょうね。また、平沢氏については安倍首相の家庭教師を務めた経験から、本人も安倍首相の任期が続く限り大臣になれないと理解しているようです。
――ところで、石破氏の党内議員の間での人気のなさは、どこに起因しているのでしょうか。
朝霞 いったん党を割って出た、出戻り組というのが、まず一点、そして、人を信用せずに勝手に物事を進めるタイプで、面倒見が悪いというのが第二点。「お金がないからケチ」という評判もあります。ですから石破派が拡大するのも難しいのでしょう。
――石破派の番頭役の鴨下一郎氏も日本新党出身です。
朝霞 鴨下氏も重鎮ですが、面倒見もよくないです。中堅になってくる平将明氏などは自分たちが政策通だと自負して、やや尖ったところがあります。そうなると、ほかの派閥の協力体制は得にくいです。平氏個人と親しい議員もおりますが、その議員は安倍首相支持派が多いです。
野田総務相、政治生命の危機
――野田総務相の一連のスキャンダルは、首相官邸からのリークという話もありますが。
朝霞 確実なことは言えませんが、私は麻生財務相がリークしたと聞いています。去年の段階では、安倍氏と石破氏と一騎打ちで総裁選を争えば、安倍氏が不利になるという観測もありました。そこで野田氏を出馬させることで反安倍票が割れるため、安倍氏に有利になるということで、推薦人を貸してでも野田氏出馬を求めたと漏れ伝わりました。しかし、現段階で野田氏出馬は必要がなくなり、推薦人を貸すこともなくなったということです。
今回の金融庁の情報公開請求漏洩問題は野田氏のミステイクですが、脇が甘かったということです。
――夫が元暴力団員という報道もあり、野田氏の政治生命は事実上これで終わりでは。
朝霞 推薦人20名を集めて総裁選に出馬し、安倍氏、石破氏と同じ土俵に立てばまだ芽がありますが、推薦人を集められなければ、政治生命は厳しいでしょう。それに海外から見れば夫が元暴力団員というのは、首相を目指す政治家としては致命的です。メディアも一斉に叩くでしょうから大変です。これが麻生氏であれば安倍首相はかばいますが、野田氏であれば高みの見物です。
――安倍氏は今国会で重要法案は通したので、あとやることは憲法改正くらいでしょう。
朝霞 会期延長でろくな審議もなく重要法案を通して、憲法改正も行ってそれで日本がよくなるのかといえば、大いに疑問です。今回の西日本での豪雨のように自然との戦争状態に突入したのです。自民党の二階俊博幹事長の持論である国土強靭化を進めて、老朽化した社会インフラを維持管理していかなければいけないのです。本来はそういうところに智恵を出すべきです。“ポスト安倍”は何もできず、以前と同じように1年くらいで叩かれては退陣するということが繰り返される展開しか見えません。2020年以降の政治は、よりひどくなると思います。
(構成=長井雄一朗/ライター)