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ケガをしても保健室に行けない野球部員の事情
ある高校の学校医は、校名や名前を明かさないことを条件に話す。
「ほかのスポーツでも同じようなものですが、特に野球部の生徒は調子が悪くても保健室に来ません。『あいつは弱い』『根性が足りない』と思われるのが怖いのだそうです。仲間にではなく、監督にです。『監督にそんな判断をされてしまったら、どんなにがんばってもレギュラーから外される』と思っています。事実、そうなんでしょう」
そのためか、早期に治療していれば治ったはずの怪我を悪化させて、結果的に野球を辞めてしまうケースも多く見たという。
「そう言うと監督だけが悪いように聞こえるかもしれませんが、野球に熱心な親御さんも監督と同じようなメンタリティであることが多い。そのため、子どもたちは『痛い』『つらい』と弱音を吐く場所がないんです」
高野連は高校野球を「教育の一環」と位置づけている。それならば、まだ成長途上の体を、そして心を、自分で守れるように指導することも必要ではないだろうか。そのための環境づくりは、どうなっているのだろうか。また、主催する朝日新聞社や中継を担当するNHKも、酷暑のなかで行われていることの異常性を高野連に訴えるのも役割のひとつではないか。
今日も、熱戦を伝えるテレビの画面には、プレーする球児たちを取り囲むように「熱中症警報 不要不急の外出は避けてください」という警告が表示されている。
(文=石丸かずみ/ノンフィクションライター)
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