北海道地震と首都直下地震に共通点?
――余震など、今後の危険についてはいかがでしょうか。
橋本 地震学者の大森房吉が1899年に発表した「大森公式」に照らし合わせても、現時点(7日)では地震活動は終息していくと考えられます。今のところ余震活動は熊本地震や新潟県中越地震ほど激しくなく、福岡県西方沖地震や鳥取県中部地震のように、このまま減衰してくれることを願うばかりです。ただし、予断を許さない状況には間違いありませんから、1週間くらいは様子を見る必要があります。
――6月に公表された地震調査委員会の「全国地震動予測地図2018年版」では、北海道南東部で大地震が起きるリスクが高まっており、実際に近い範囲で発生しました。
橋本 あの予測の精度は、それほど高くないのです。特に確率評価は誤差が大きい上に、発生確率が高い、プレート境界に起因する地震の寄与が大きいのです。そのため、活断層で起きる地震や今回のようなタイプの地震の発生確率は低いので、その寄与は目立ちません。北海道であれば千島海溝、西日本であれば南海トラフで巨大地震の発生確率が高く評価されていますが、「地震動予測地図」では、主にそれらのタイプの地震による寄与が強調されています。
――首都直下地震の発生も懸念されています。
橋本 発生時期はわかりませんが、首都圏の地下には2つのプレートが沈み込んでいるため、引き続き注意が必要です、首都直下地震が起きるとすれば、今回のタイプに近いと考えています。1894年に発生した明治東京地震(M7)も、北海道胆振東部地震との共通点があるかもしれません。
全道が停電するブラックアウトが発生しましたが、大震災時には東京も同様の事態に陥る可能性はあるでしょう。やはり、深刻な問題となるのはインフラへの打撃です。首都機能の分散も検討すべきでしょうが、コストなどの問題もあります。首都圏の大地震については、内閣府も揺れや被害を計算しています。これらのデータは公開され、各自治体へも伝えられていますので、どのようにうまく生かすかがポイントです。
――6月の大阪府北部地震から3カ月もたたないうちに、北海道胆振東部地震が発生しました。今後、我々が注意すべき点はなんでしょうか。
橋本 一人ひとりが災害や防災について考える機会を増やすことが大切です。地震予測は「当たるも八卦当たらぬも八卦」の世界です。プレート同士が地中の境界でゆっくり滑る「スロースリップ」が大地震に先駆けると考えられていますが、スロースリップはわりと頻繁に起きていますので、次のスロースリップが本震につながるかどうかわかりません。また、スロースリップがなく、地震は突発的に発生することもあるでしょう。そのため、日頃からの備えや意識が大切です。