すでに、海外女性との偽装結婚ビジネスは日本で横行しています。偽装結婚ビジネスでは、年金をもらっている65歳以上の独身日本人男性に対して、「日本に憧れる若い海外の女性がいます」というような話を持ちかけて結婚させます。そして、日本人男性の死後には、相手の女性が財産だけでなく遺族年金をもらうというケースが増えているようです。
悪質なビジネスによって、私たちが汗水流して払っている年金保険料や税金が海外に流出していくのは腹立たしいですが、もはや止めようのない流れになっています。
日本の社会保障が崩壊する可能性も
厚生労働省によると、安倍政権発足当時の外国人労働者数は約68万人でしたが、現在は約128万人と2倍近くになっています。そして、今回の「移民政策」の強化で、日本の外国人労働者数は200万人近くになることが予想されています。
現在の日本の就労者数は6531万人(2017年12月末時点)なので、外国人労働者は約2%、つまり働く人の50人に1人が外国人ということになります。一方で、外国人労働者たちに日本人の私たちと同じ権利(参政権など)や保障を確保していくための議論は、あまり積極的にはなされてこなかったのが現状です。
「移民」については、すでに大量に受け入れている国で、さまざまな問題が起きています。移民政策に寛容だったヨーロッパ連合(EU)も内向きになり、ドイツなども移民政策の閣内対立で政治危機に直面しました。
イギリスでは、EU離脱派が「移民政策の悪影響」を強調し、「移民に職を奪われる」「なぜ移民に自国民同様の手厚い社会保障をしなくてはならないのか」といった不満が吹き出し、ついにはEU離脱という方向に向かいました。
移民問題は、この国の未来の形を左右するような大きな問題です。プラス面だけでなくマイナス面も世界中で噴出しているなかで、すでに世界第4位の“移民大国”の日本は、さらに大量の「移民」を受け入れる方針を打ち出したわけです。
それにもかかわらず、いまだ大量の「移民」確保を「移民政策とは異なるもの」などと寝ぼけたことを言って、論争を避けようとしています。こんな状況のなかで、私たちの大切な社会保障が雪崩のように崩壊していく可能性があります。
この国を動かす政治家の頭には「選挙」のことしかないようですが、「移民問題は日本の形を変える大問題なのだ」ということを自覚してほしいものです。
(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)
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