対馬には、ターミナルがある比田勝と中心街の厳原、その間にもいくつもの町がある。それらの地域でも、不動産が韓国資本に買収されるところが増えているという。点と点がつながれば線となり、気がついたときには島の大部分が韓国人のものになっていてもおかしくはないだろう。
「高齢化が進み、地場産業もどんどん衰退していっています。ある免税店の店員は、『もう、対馬はいつ韓国の国旗が掲げられてもおかしくない。実質、韓国領だ』と言っていました。『対馬は、あと10年もしないうちに日本ではなくなっている』と不安がる人もいます」(同)
中国資本が本格参入の脅威も
韓国資本による買収が進む対馬は、なぜ放置されているのだろうか。その理由について、宮本氏はこう語る。
「多くの日本人が、不動産が外国資本に買収されるということに関心がないからです。その証拠に、対馬の現実はメディアで報じられることはほぼありません。『領土を奪われるなんて、現実に起きるわけがない』と多くの日本人が信じ込んでいるのと、領土が実際に奪われることへの危機感が薄いのでしょう」(同)
しかし、“危機”はすぐそこまで来ている。一方で、国はいっこうに対策する気配を見せない。
一時は、自民党の議員連盟「真・保守政策研究会」や超党派の国会議員による「日本の領土を守るため行動する議員連盟」が立ち上がり、外国資本の参入に規制をかける新法制定に向けて動きを活発化させたこともあったが、議員連盟を牽引していた中川昭一氏が病死したことで、その流れは止まってしまった。その後の動きがないことからも、国の対馬に対する関心の低さがうかがえる。
そんななか、17年4月に施行されたのが、いわゆる「有人国境離島法」だ。しかし、同法は対馬の現状に対しては意味をなさないという。
「有人国境離島法は、離島から本土に渡る費用の6割を国が負担するというもので、利用できるのは島民だけです。本土から島に行く人に対する援助ではないので、これでは意味がありません」(同)
最後に、宮本氏は脅威は韓国だけではないことを明かした。
「対馬に訪れる中国人も年々増加しています。中国資本が本格的に入ってきたら、韓国も太刀打ちできないといわれています」(同)
地場産業が活発化するように人を投入する、本土の人間が行きやすくなるように環境づくりを行う……対馬を守るための施策は、まだまだたくさんあるだろう。取り返しのつかない事態になってからあわてて対策を打っても、もう遅いということになりかねない。
(文=島野美穂/清談社)