メンバーのひとりが過去に、長崎県に原子爆弾が投下された際のキノコ雲の写真が用いられたTシャツを着ていた問題で、11月14日、韓国のヒップホップアイドルグループ「防弾少年団(BTS)」の公式ファンクラブサイトに所属事務所の見解が掲載された。
「衣装自体が原爆被害者の方を傷つける目的で製作されたものではないことが確認されたにも関わらず、当社が事前に十分な監修ができず、当社のアーティストが着用するに至ったことにより、原爆被害者の方を意図せずとも傷つけ得ることになった点はもちろん、原爆のイメージを連想させる当社アーティストの姿によって不快な思いを感じ得た点について心よりお詫び申し上げます」
世界的に人気を博しているBTSだが、このTシャツ問題で、11月9日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の出演が見送られ、年末の音楽番組への出演も白紙になった。NHKは『紅白歌合戦』への出演をオファーしていたが見送ったと伝えられ、14日に発表された出演者にはBTSの名前はなかった。
韓国世論の「文化的報復」はこじつけにすぎない
中国から日本に帰化した評論家の石平氏は語る。
「長崎と広島への原爆投下によって、一瞬にして数十万人の人々が亡くなり、生き残った人々も戦後、長い間苦しみました。原爆の写真をデザインに使ったTシャツを着たということは、そうした被爆者の気持ちを踏みにじる行為です。日本のテレビ局が彼らの出演を取りやめたのは当然の判断です。テレビは公共の電波ですから。BTSは日本でコンサートをやっていますが、それはそれでやればいい。『コンサートまでやめろ』ということになれば文化への抑圧になるし、彼らに『日本から出て行け』とか『二度と日本に来るな』というのは行き過ぎです。しかし、被爆者の気持ちに配慮して、公共の電波を用いるテレビへの出演は取りやめるというのは、なんら問題のない対応でしょう」(石平氏)
韓国の世論では、韓国大法院が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決に結び付け、それに対する「日本の文化的報復だ」とする声も広がっている。
「ごく普通に考えれば、まったく関係のない話です。BTSの出演が決まったときに、すでに徴用工に関する判決は出ていました。その時点で、どのテレビ局も彼らの出演は取りやめていません。原爆Tシャツの問題によって出演が取りやめられたのは明らかです。
彼らは過去にナチスに酷似したコスチュームを着ていたことも明らかになり、問題視されていますが、日本のアイドルグループの欅坂46がナチス風の衣装を着たときも、同様に批判にさらされました。韓国のアイドルだから批判されているわけではないことは明らかです。韓国の新聞や政党、有識者が、徴用工判決とBTSの出演取りやめを結びつけて『文化を不当に抑圧している』などと論じるのは、まったくのこじつけです。日本では、外交の問題と文化に対する言動を結びつけて論じる人はいません。健全な民主主義国家であれば当然でしょう。
もちろん、さまざまな言論があっていいので、BTSのテレビ出演取りやめを批判する声があってもいい。しかし、その場合でも、原爆の写真を使ったTシャツを着たBTSのことをいさめたり批判したりすることが前提となるべきなのに、そういった声は一切ない。そもそもの発端であるBTSのほうの問題には一切触れず、『韓国は悪くない』『日本が悪い』という一辺倒。ある意味、それが韓国の伝統であり、つまりは健全な民主主義国家ではないんですよ」(同)
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