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こうしたいじめ問題では、いつも学校側の対応の遅さ、認識の甘さが指摘される。一方、学校側の言い分は、いじめ被害を受けた児童・生徒のみならず、加害児童・生徒の人権をも守らなければならないというものだ。結果、加害者の権利が守られ、被害者の権利がないがしろにされる。人が絡む繊細な問題ゆえ、学校側は慎重な調査を行う。この慎重な調査の間にいじめがますますエスカレート。最悪の悲劇を生むこともある。
まずは、以下の詩をみてもらいたい。
「今日
なみだをたくさん流した。
そうじの時間、◯君が
前私がなくしていた消しゴムをホウキでつついていた。
それをひろうと、なぜか◯がホウキでつついてきた。
◯がホウキでなぐってきた。
その他の男たちが足をホウキでつついてきた。
左足はダメージをうけなかったが右足はダメージをたくさんうけた。
しめは◯のぞうきんしぼりだ。
右手をねじられた。
おかげで右手は右に回らなくなった。
私はトイレにかけこみ、大声でないた。
よほどいたくてくやしかったのだろう。
五時間目は体育だった。
私はもう四年生だ。
こうい室で着がえる。
もちろん先生とは別室だ。
体育のじゅ業が終わった後女子こうい室にもどった。そしたらなんと、
着がえる服がないではないか。
必死に探した。
そしたら、すのこの下にひいてあるではないか。
なんときたない。
地べたなんて。
私はもうかんにんぶくろのおが切れた。
また私はちかくのトイレにかけこんだ」
【編註:文中の「◯君」は原文では実名だが、筆者判断で伏せ字とした】
●勉強ができ、真面目で、活発な子ほどいじめの標的に
この詩は大阪市内の市立小学校に通う、小学校4年の女子児童、Aちゃん(仮名)のものだ。いじめはAちゃんが小学校3年だった去年からひどくなった。
勉強もでき、スポーツも万能で活発なAちゃんは、その“活発さ”、そして“真面目さ”ゆえにイジメのターゲットになったという。体操服や上履きを隠され、破かれたほか、上記掲載の詩にもあるように文房具を隠す、ゴミ箱に捨てられるなどは日常茶飯事、5人から袋叩きにされたり、ホウキで頭を殴られたこともあったという。またクラスのいじめっ子から無視され、Aちゃんと仲のよい子も、Aちゃんと話をすると「Aウィルスがうつる」などとはやし立てられ、結果、クラスのみんなから無視される――。
このようなひどいいじめから、Aちゃんの母親は、昨年の11月頃、担任教諭に連絡。「よくみておきます」との事務的な対応だけで、なんらいじめの解決には結びつかなかった。母親によると、年度が変わり4年生に進級しても、いじめが収まるどころか余計にひどくなり、Aちゃんは体にあざをつくって帰ってくることもあったという。
さすがに、ここまでくるとAちゃんの我慢も限界を超えたのだろう。Aちゃんは、今年4月頃から、母親でも、学校の先生でもなく、周囲にいる大人に、いじめを引き続き受けている実態についてSOSを発信する。筆者もSOSを受けた大人の1人だ。なぜ周囲の大人への発信だったのか。その理由についてAちゃんは「お母さんと先生方に心配をかけたくなかった」と話す。
いじめ被害に遭っている子どもが、親や教師に心配をかけまいとする、同時にいじめを行っている子どもから、「チクった(告げ口をした)」ことでさらなるいじめに遭うことを防ぐべく、自らが受けたいじめについて“過少申告”することが多い。Aちゃんもそんな気持ちからか、自らが受けたいじめ内容について、親、学校の先生には“過少申告”していたようだ。
だが、この過少申告を鵜呑みにし、学校側の対応が結果的に後手に回った感は否めない。