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入管法改正「第二の徴用工」化の懸念も…“上から目線”では優秀な外国人は日本に来ない

構成=長井雄一朗/ライター

――技能実習制度では、長時間労働や残業代未払い、最低賃金割れ、ハラスメントなどのひどい労働実態が問題化しています。

毛受 来る前はいい話を聞いていたものの、実際に働いてみたらとんでもない目に遭うというケースが出てきています。そのため、外国人労働者が事前に状況を把握できるようにしておくことが肝要です。民間に任せるのであれば、透明性の確保は最低限の条件になります。

――民間任せでは「第二の徴用工」が生まれるのではないかという懸念もあります。

毛受 私も同様の認識です。技能実習制度で過酷な労働実態が問題になったことで、海外からの印象も悪くしています。国の監査も、業者の数が増えれば限界があるでしょう。そこで、業者側の環境改善や情報公開が大事になってくるわけです。

外国人労働者の増加は本当に脅威なのか?

――外国人労働者の増加によって「職が奪われる」「街が乗っ取られる」という拒否反応もありますが。

毛受 それは大きな誤解です。今後、受け入れることになる外国人労働者は年間4万~5万人です。これは、技能実習制度の受け入れ人数とほぼ同じですから、いきなり大量の外国人が押し寄せるわけではありません。昨年、定住外国人は約18万人増えましたが、「今や外国人が地域で重要な役割を担う時代」ということをもっと認識してもらうことが大切です。そのためには、外国人の方々が地域に溶け込む姿勢を見せるのはもちろん、国や自治体などの受け入れる側もイベントなどで啓蒙していくべきです。

 今や外国人労働者も、どの国で働くかという選択肢は少なくありません。さまざまな点で優れた制度にしなければ、優秀な人材が日本にやってくることはないでしょう。中国、台湾、韓国などと比較しても「日本で働きたい」と思えるような制度設計が必要であり、それが国際的な人材獲得競争に打ち勝つ道でもあるわけです。いずれにせよ、“上から目線”では優秀な外国人労働者が日本に来ることはありません。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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