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韓国、店員に土下座などクレーマーが社会問題化…歪んだ特権意識

文=編集部
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韓国、店員に土下座などクレーマーが社会問題化…歪んだ特権意識の画像1「Gettyimages」より

 店員に対して過剰な謝罪要求や暴力行為に出る、いわゆる“モンスタークレーマー”。日本だけでなくお隣の韓国でも、サービス提供者への横暴な態度が社会問題となっているようだ。

 12月6日にウェブメディア「WoW!Korea」が報じたところによると、ソウルのマクドナルドで客が店員に袋を投げつける動画がインターネットに投稿されて、問題になっているという。1カ月前に起こった出来事で、商品提供が遅いと怒った男性がハンバーガーの入った袋を店員の顔に投げつけた。警察が出動する事態へと発展し、男性客は店員に謝罪したという。なお、同月にはウルサンにあるマクドナルドのドライブスルーでも、男性客が注文を間違えた店員に商品を投げつける事件が起こっている。

 トラブルはファストフード店に限ったことではない。韓国の「東亜日報」は10月19日、百貨店従業員を正座させてクレームを入れる女性客の画像を紹介した。画像はフェイスブックに投稿されていたもので、騒動は7月にヨンインの百貨店で発生。購入した化粧品に文句をつけた女性客が従業員2人に土下座を強要し、暴言を吐いたという。

 韓国のモンスタークレーマーといえば、2014年12月に大韓航空で起きた「ナッツリターン事件」が有名なところ。大韓航空副社長(当時)の趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏が仁川(インチョン)空港に向かう大韓航空機のファーストクラスで、ナッツが袋のまま提供されたことに激怒。すでに動き始めていた飛行機をゲートにリターンさせて責任者を降ろし、その結果、飛行機は仁川空港に11分遅れて到着した。

 問題が大きく報じられると趙氏は「ナッツ姫」と揶揄され、のちに航空保安法違反などの罪で逮捕・起訴されることに。ちなみに趙氏の母親・李明姫(イ・ミョンヒ)氏も今年5月、運転手や工事関係者への暴行容疑で警察に出頭して事情聴取を受けたばかりだ。

 韓国内で相次ぐ同類の事件について、ネット上では「客はサービスを受けるだけの立場であって神様ではないということがよくわかる」「日本でも酔客による駅員への暴行といった問題があるから他人事ではない」「『韓国だから』という考え方ではなく、どの国でも起こりうる問題として捉えたほうがいい」と、さまざまな声が飛び交っている。

背景に深刻な就職難か

 韓国情勢に詳しいジャーナリストの高月靖氏は、次のように語る。

「一連の横暴なパワハラ行為は、韓国で『甲チル』(カプチル:契約書の甲=カネを支払う側の横暴)と呼ばれ、ナッツ姫事件の前後から深刻な社会問題として注目を集めています。立場の弱さにつけ込むパワハラ行為に対して、社会の不満、鬱憤は非常に根強く、報道を契機にネットなどで人々の怒りが噴出するのが常です。いつ自分が被害にあうかもしれないという当事者意識も、大きな関心の背景にあるようです。

 百貨店で客が店員や係員に土下座させる例は、数年前からしばしば報じられています。また最近では芸能人が高級外車のディーラーでわがまま放題に大暴れした一件もありました。百貨店、高級車などを利用する富裕層や“小金持ち”のなかには、一般従業員に対して歪んだ特権意識をぶつける人がしばしば現れるようです。

 また、一連の行為の背景に『雇用の不安定さ』を指摘する報道もあります。深刻な就職難のせいで被使用者の立場がいっそう弱くなり、使用者ないし客がそこにつけ込んで、ますます増長しやすい環境にある、という分析です。ただし、マクドナルドの一件については、タッチパネルで注文するシステムが複雑で、男性がバカにされた気になってキレたのではと分析する報道もありました」

 いつの間にやら“神様”から“モンスター”になってしまう客。サービスを受ける側だとしても、相手を攻撃したり、嫌な思いをさせる行為は許されるはずはない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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