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それは筆者のような、淡々とした日常生活を送っている人間にはわかりにくい。しかし、暴力団の周囲にいる人たちが「ファン」になって、その人たちがヤクザ専門誌を読むということは考えられるのだ。
ヤクザ専門誌の読者とは、暴力団構成員、準構成員、暴力団と関わる仕事をしている人たち、その周囲にいる人たちである。その人たちがヤクザ業界の動静を気にするようになり、それで手に取る、という構図が考えられるのだ。あとは、「物好き」といったところだろうか。
ヤクザ専門誌は、一般の書店では手に入りにくい。コンビニでも、扱っている店と扱っていない店がある。繁華街のなかの小さな書店で大きく扱っている例もあるという。
ただ、ヤクザファンの世界も縮小傾向にある。専門誌は1誌になり、母体となる暴力団構成員・準構成員の人数も減っている。そのために一般社会と暴力団との接点は年々希薄になっていく。
かつては、山口組組長田岡一雄氏の息子・満がプロデュースする『山口組三代目』という映画がつくられ、高倉健が主役になった。また田岡一雄氏が大横綱・大鵬に化粧まわしを贈ったということもある。それだけ、暴力団が一般社会に親しまれていたということだ。
暴力団と一般社会の関係が濃密だった時代と今とでは状況が異なり、暴力団の人気もなくなっていった。それでもなお、残り続けているファン層がいるのだ。
そのような状況のなかで、唯一生き残ったヤクザ専門誌が「実話時代」である。獨歩舎が編集し、三和出版が発行・発売をしている。内容は、暴力団の集会のグラビアや、暴力団の動静、過去のヤクザを描いたノンフィクションなどである。また、山口組および分裂した各団体の報道には力を入れている。
(文=小林拓矢/フリーライター)
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