問題になったのは、堀江氏のヒット小説『拝金』、そして第2弾の『成金』(いずれも徳間書店)。この2つの小説について、漫画家の佐藤秀峰氏が自らのブログで、「一般的に堀江さんが文章を書いているかのようなイメージがありますが、実際には堀江さんは文章を書いていません。代筆者がいるとのこと」と暴露したのだ。
佐藤氏は『拝金』の表紙イラストを描いた際にこの事実を知ったらしく、今回の指摘にあたっては「版元の徳間書店の担当編集者に確認した所、話を聞いた時期に認識のズレがあったものの、代筆の事実については認めていただきました」と明言。『成金』に関しては代筆の事実を知りながらカバーイラストを執筆したことについて、「読者の皆さまに対し、甚だ不誠実でした」と謝罪している。
当の堀江氏は沈黙を守っているが、彼の2つの小説にゴーストライターがいるのは事実のようだ。
「書いたのは、政治家の自伝や芸能人のゴーストライターも務めている40代の実力派ライターで、執筆に当たっては、3〜4%の印税が支払われる契約を結んでいます。徳間書店側が共同執筆者がいると認めたのはそのためです。この2冊の小説づくりの過程で、堀江氏は打ち合わせを重ねてアイデアは出しているらしいですが、細かいプロットなどはそのライターがつくったと聞いています。そういう意味では、詳細な指示書を書いていた佐村河内氏よりもゴーストライターへの依存度は高いかもしれません」(徳間書店社員)
●ネット上では擁護論が大勢
ところが、意外なことに堀江氏に対する批判はあまり出てきていない。それどころか、ネット上ではゴーストライターの利用について「タレントや著名人の本では当たり前」「一概に否定されるべきものではない」「出版業界に定着している慣習をなぜ今さら暴露するのか?」といった擁護の声や、批判に対する疑問が多数を占めている。
確かに、これまでゴーストライターの利用は出版業界では常識とされてきた。タレント本や政治家、経営者の自伝・エッセイ、あるいはビジネス本、ハウツー本などは、かなりの高確率で著者とは別のライターが書いているといっていいだろう。
「素人の場合はもちろん、評論家や作家でも売れっ子で超多忙な場合はゴーストライターを立てているケースが多くあります。その方法としては、短くて1日、多い時では10日ほどかけてゴーストライターが著者から話を聞き、原稿をまとめるという聞き書きが一般的です。もちろん著者は出版前にチェックしますが、構成や文章のディティールはライターに任せます。ゴーストライターのギャラは、初版で30〜50万円を受け取り、重版されれば売り上げ額の3%ほどが取り分となるのが一般的です。巻末のクレジットに、『構成』や『執筆協力』としてゴーストライターの名前を記すこともあります」(大手出版社編集者)