生々しい話で恐縮ですが、「どの日の性行為でできた子か」を厳密に調べて、それが離婚成立日の前か後かで、戸籍上の父親が切り替わる、ということです。離婚成立前に、配偶者以外の人とのエッチを、どこで、何度しようとも、ここでは問題にはなりません(不貞行為にはなるでしょうが)。問題は「妊娠したのは、どの日の性行為か?」という、その一点のみに集約されます。
離婚成立日前の性行為による子どもである場合は、たとえ再婚後の夫との血縁上の子であったとしても、これまでと変わらず、戸籍上は元夫の子のまま、ということになります。
それにしても、「『どの日の性行為でできた子か』を、調べることなどできるのか」と疑問に思い、調べてみました。そして、なんとか以下の一枚の絵をつくりました。
一般的には、最後の生理の日から14日目くらいを「X日」とします。生理の周期(一般的には28日前後)のちょうど半分の日くらいから導かれているのだろうと思います。ところが、生理が不順な人には、この一般的な推定では不確実ですし、本人の主張だけでは証拠になりません。
そこで、妊娠8~11週頃に行われる、超音波検査の胎児の体長(頭殿長)で、X日を推定します。この頭殿長は、その胎児の違いに関係なく、概ね同じ値になるもので、かなり正確に(誤差1日単位)妊娠0週を推定できます。そして、これに14日を足したものをX日として、その前後14日間、つまり28日間のどこかが、妊娠した性行為日であると判断するのです。
その期間の最初の日が離婚の日後であれば、晴れて「推定が及ばない」ことになり、元夫の協力なしで再婚後の夫を父とする嫡出子出生届出が可能となります。
しかし、実際に計算してみてわかったのですが、この方式で300日問題から救済される人は、かなり少ないと思います。最終月経の第1日目を「妊娠0日」として280日目が出産予定日となるわけですから、「離婚後に妊娠、かつ離婚後300日以内に出産」という条件を満たすことは多くないでしょう。従って、この改正による主な救済対象は、低出生体重児、または早産児のケースといえます。