そのSEPが今、経営権争奪の舞台となっている。仕掛けているのは、レジャー施設の運営とはまったく縁がない大株主である東拓観光とロイヤル観光の2社と個人株主。
大株主2社には、2001年に死者44名を出した歌舞伎町ビル火災について、08年に執行猶予判決を受け有罪が確定した瀬川重雄氏が深く関与している。また同氏は、伊豆シャボテン公園の土地と建物に根抵当権を持つと主張して競売申し立てをしているケプラムの株主であり、SEPの大株主グループによる経営への関与と併せて、2面作戦をここ数年にわたり展開、「東日本のカピバラの聖地」奪取を目指している。同氏は相当程度票固めを進めていると目されており、11月29日に臨時株主総会を開催させるところまでこぎつけた。この総会では、資本の論理により現経営陣の解任を求めている。
すでに敗色濃厚とも目されている現経営陣だが、ここに来て業績回復は顕著だ。SEPは前々期決算で7年ぶりの営業利益の黒字化、前期決算では13年ぶりの2期連続営業利益の黒字化および3期連続当期純利益の黒字化を達成した。また、同社は14年7月度から月次業績の公表をしているが、同8月度には、伊豆シャボテン公園において過去10年間で最高の入園者数を達成し、同じく同社が運営する伊豆ぐらんぱる公園に関しては、過去20年間で最高の入園者数を達成するなど、バブル期以来の活況を呈している。さらに、11月13日発表の15年3月期第2四半期決算では、いわゆる「継続企業の前提に関する注記」が解消され、財務上の経営危機は脱したかたちだ。
厳しい戦いを強いられているSEPの小松裕介社長は、「年間30万人以上の方々が来園され、カピバラを見て喜んでくれている子供たちが年々増えてきている。こうした子供たちに夢を与えるレジャー施設をなんとか存続させたい」と思いを語る半面、どのような手段であれ、資本と司法の原則には従わざるを得ないと苦渋の表情を浮かべる。
●騒動の経緯と、株主総会における争点
小松社長に、騒動の経緯と今後の見通しなどについて話を聞いた。
–大株主の東拓観光とロイヤル観光は、どのような改革案を示し、何を問題視しているのですか?
小松裕介社長(以下、小松) われわれ経営陣は、経営改善を達成してきています。従って、経営能力が問われているのではないと認識しています。また、東拓観光とロイヤル観光の両社から具体的に、レジャー施設の運営や経営改善に関する提案を受けたことはありません。