「委員会の議事録を読むと、世界中の企業が失敗しているこの減量メカニズムの開発に『画期的なことを扱っているとはとても思えない申請者』が成功するはずがない、という議論がされていることがわかります。そのため、臨床試験を行った上で有害事象は発生していないにもかかわらず、『副作用の可能性を完全に否定できない』との評価を下されたのです。これが、大手食品メーカーによって開発されたものであれば、評価はまったく変わっていたのではないでしょうか」
●「大手優遇」と「事なかれ主義」
そして、この議事録から浮かび上がってくるのが、「大手優遇」というトクホの実態と「事なかれ主義」の専門委員たちの考え方だと業界関係者は指摘する。
「大手企業であれば、何か問題が起こっても製品の回収や損害賠償に対応できます。しかし、小さい会社であれば、そのような対応ができず国に責任問題が回ってきてしまう恐れがある。だから、トクホの専門委員は中小企業が提出する新規成分については、なるべく認めたがらないのです。しかも議事録には、委員から『トクホのペプチドは、そんなに効かない。だから食品として流通させてもいい』といった発言が見られます。つまり、ほとんど効果のない成分に承認が下り、キノコキトサンのような新規性成分に対してはトクホとしての承認を嫌がっているんですね」
食品において安全性が何よりも大切であることは論をまたない。しかし、「トクホ」という国の認定制度において大手食品メーカーばかりが優遇され、中小メーカーが冷遇される審査体制ならば、公平性に疑問があるといえよう。また、健康を訴求するイメージだけで実際の効果が薄い食品ばかりが認定されている審査であるなら、トクホの存在意義そのものすらも疑われかねないのではないか。
食品安全委員会では3月5日まで、「蹴脂茶」の審議結果についてのパブリックコメントを募集している。
(文=編集部)