「先週から『自衛隊の技官が中国側に取り込まれ、重要な情報を漏洩した』という情報が防衛省内を密かに駆けめぐっています。クラブ詰めの記者たちが確認に走り、『警視庁公安部がスパイ事件として内偵している』という話まで流れ、警察当局側にも飛び火しています。もし立件されたら秘密保護法違反第一号になる可能性もあるため、収拾がつかない状態です」
当サイトに寄せられた情報を総合すると、騒動が持ち上がったのは先週半ばのこと。テレビ東京の記者を名乗る人物が、東京・市ヶ谷の防衛省統合幕僚監部に取材をかけたのが発端だった。同部は、全国の自衛隊員を取り仕切る本部のことで、陸上・海上・航空の3つがある。同省関係者が語る。
「その記者は『自衛隊の技官が、重要な設計図を持ち出して中国側に渡した』と取材をして回ったようです。しかも『警視庁外事2課の公安捜査官たちが追っている』とまで言ったものだから、こちらも慌てざるを得なかった」
しかし、記者の質問をよく聞くと、情報漏洩したとされる技官を特定しておらず、肝心の設計図も具体性がない。そのため普段なら防衛省も取り合わない代物だが、NHKや朝日新聞が次々と取材をかけ同じ質問をぶつけてきたため、同省はパニックになったという。
「安保法制をめぐって与党協議が正念場に差しかかっている緊迫した時期だけに、防衛省としては非常にまずい事態です。マスコミがニセ情報をつかまされて空騒ぎしている可能性もありますが、いずれにせよ、情報の出所をふくめて調査に走ることになったのです」(前出・防衛省関係者)
警視庁内も混乱
重要な設計図と質され、真っ先に疑われたのは海上自衛隊だった。日米共同で運用されている潜水艦やイージス艦の設計図は、機密情報の固まりといわれるからだ。過去にも、旧防衛庁技術研究本部に所属していた元幹部技官が2000年、潜水艦に関する論文を不正に持ち出し、警視庁公安部が窃盗の疑いで立件している。持ち出した論文は中国と通じる貿易会社に渡っていた。防衛省ではこうしたケースを参考に、技官を徹底して洗い出しているという。
しかし、海上自衛隊所属の技官だけで2000人近くいるため、「情報漏洩を調べる部隊が動いているが、これだけの人数を調べ尽くすのは不可能」と防衛省クラブ詰めの記者も肩をひそめる。