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村井英一「お金の健康法」

「長期投資は損失が小さい」のまやかし…長期であるほどリスクは大きい

文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー
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短期投資と長期投資で運用成果を比べると

 上の検証は、それぞれの結果を「年利」に直して示したものです。これを見る限りは、長期投資リスクが小さいといえます。しかし、実際の投資成果を比べるとどうでしょうか。

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 100万円の場合、もっとも良かったケースでは、1カ月間で116.1万円になっています。1年間の場合は165.8万円です。10年間では282.6万円で、元金の3倍近くにも増えています。

 悪かったケースではどうでしょう。1カ月間の運用であれば、23.8万円の損失で、76.2万円となりました。1年間では48.8万円の損失で、半分近い51.2万円となっています。10年間の運用では62.6万円の損失で、37.4万円。およそ3分の1近くまでになっています。

 運用した期間が違うのですから、当然といえば当然です。1カ月間しか運用しないのと、10年間も運用し続けるのでは、10年間のほうが上昇でも下落でも大きな結果となるのは自然なことです。

 問題は、これをどう評価するか、という点です。「リスク」の大きさを年利で見るか、実際の損失額で見るか、で見方が違ってきます。年利で見るならば、短期投資よりも長期投資のほうがリスクは小さくなります。先の検証でも、10年間の投資であれば、最悪のケースでも年利で‐9.4%に収まりました。1カ月間や1年間の投資に比べて、明らかにリスクは小さくなっています。

 しかし、それでも10年間も運用するとなると、その成果の累積は大きくなります。資産は3分の1近くまで減っているわけで、短期の投資に比べると大きな損失です。とても「リスクが小さい」といえるような状況ではありません。

 たとえば、年利3%といっても、それで10年間運用すると、資産は34%の増加となります。損失の場合にも同じことがいえ、長く運用すればするほど、良きにつけ、悪しきにつけその成果は大きなものとなります。「長期投資はリスクが小さい」というのは、あくまで“年利”で考えた場合のことであると理解しておく必要があります。

(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー

村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP・1級FP技能士)、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト。神奈川大学大学院 経済学研究科卒業。
大和証券に入社し、法人営業、個人営業、投資相談業務に13年間従事する。
ファイナンシャル・プランナーとして独立し、個人の生活設計・資金計画に取り組む。個別相談、講演講師、執筆などで活躍。

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Twitter:@coreca

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