新型コロナウイルスによる世界経済への影響が深刻化しており、リーマン・ショック以上の打撃という見方も少なくない。今後、世界恐慌に発展する可能性はあるのだろうか。『いま持っている株は手放しなさい!』(KADOKAWA/2019年5月刊行)の著者で経済アナリストの塚澤健二氏は、以前から株価暴落を予測していたが、今回のコロナ・ショックについて以下のように語る。
「世界的株価暴落の様相ですが、私の『T-Model指標』ではまだ急落調整であり、暴落本番は、ここから一旦、急反発があってからです(3月13日現在)。現在の状況を端的に表しているのが、T-Modelオリジナルの『関東-全国』のデータです。昨年から今年の4月に向けて急落が起きることを予告しており、10年1月以来の低水準まで急落していましたが、この水準はリーマン・ショック時に記録したものです。
このグラフを説明させていただいても、なんとなくそうかなと思ってご覧いただいていたかもしれませんが、現在のリーマン・ショック並みの株価急落を目の当たりにされて、このグラフのすごさをご理解いただけたのではないかと思います。
そして、重要なのはこれからの近未来です。このT-Modelオリジナルの『関東-全国』のデータは、急反発することを示唆しているのです。このグラフはJPモルガンのアナリスト時代に発明したものですが、今でも有効に機能しているのは、このグラフが本物だからです」(塚澤氏)
株価の下降局面で利益が出るETFとは
以前から、塚澤氏は「生活防衛の教室 リアルセミナー」で暴落の注意を示す経済指標やウイルスに関する周期の情報を発信し続けている。残念ながら、新型コロナウイルスによる経済停滞が現実となった今、私たちはどうすればいいのだろうか。
前述の『いま持っている株は手放しなさい!』で、塚澤氏は以下のように述べている。
「かつてはモノが破壊されることで焼け野原になりました。今度は金融が破壊されることで焼け野原になる――。そんなイメージで皆さんも考えて、今から準備しておいたほうがいいでしょう。戦後の焼け野原では『生きるか死ぬか』のギリギリの選択が強いられてきたことでしょう。次の金融危機でも同じことが問われるはずです。そこで生き残った先達たちは『生きる覚悟』を持って現実と対峙していったんです。だから、私たちも生きる覚悟を持って、これから起こる金融危機の衝撃に耐えなくてはなりません」
「これからは、複数のスペシャルを持っている『スーパージェネラリスト』か、あるいはそのスペシャリストを教える『スーパースペシャリスト』しか食えなくなってきています。どちらも厳しい道ですから、相当頑張らないといけません。いま何もスペシャルなものを持っていないというのでしたら、今からでも遅くないので何かスペシャルを身につけていく努力を忘れないでください。できればそれを複数身につけていくのが理想です」
塚澤氏が同書で勧めていた上場投資信託(ETF)は、株価の下降局面で利益が出る「日経ダブルインバース(コード番号1357)」「NYダブルベア(コード番号2041)」「ETFVIX(コード番号1552)」であった。この相場を踏まえて次に何をすべきかは、今夏に刊行予定だという次の著書で教えてくれるだろう。
(文=編集部)